アリセプトについて たしかめてください、患者さんの「認知機能」

アリセプトのすべて

第Ⅵ章 特殊患者への投与

アリセプトはパーキンソニズムをもつアルツハイマー型認知症患者様に投与することができますか?

アリセプトは線条体のアセチルコリン系神経を亢進することにより、症状を誘発または増悪する可能性があります。そのため、錐体外路障害(パーキンソン病、パーキンソン症候群等)のある患者様には慎重に投与してください。(パーキンソン病治療薬との併用については、「パーキンソン病治療薬との併用について教えてください。」をご参照ください)

アリセプトは、パーキンソニズムを悪化させたとの報告もあります1)〜3)。しかしながら、これまでのドネペジルを投与した臨床研究では有意な運動症状の悪化は示されておらず、2014年9月に本邦でDLBへの適応拡大が承認されています。なお、錐体外路障害(パーキンソン病、パーキンソン症候群等)のある患者様に対しては「慎重投与」になっています。

従来、パーキンソン病では線条体でのドパミン系機能が低下し、線条体内で相対的にアセチルコリンが優位になると考えられていました4)。そのため、脳内のアセチルコリンを増加させる作用機序をもつアリセプトは、パーキンソン患者様に投与するとアセチルコリンとドパミンのバランスを崩しパーキンソン症状を悪化させるという「バランス説」が提唱されていました。

しかし、近年の研究では、線条体内のドパミンの働きと関連すると考えられるアセチルコリン作動性のインターニューロンの他にも中枢系のアセチルコリン系神経が大きく2系統あり、それらはドパミン系と直接関係しているわけではないとの報告5)6)がなされるなど、パーキンソン病における中枢神経系の変化はドパミン系機能の低下にとどまらず、より広範な作用の結果であることが示唆されています。

また、近年のPETを用いたin vivoの検討などから、パーキンソン病認知症、DLB、さらに認知症を合併していないパーキンソン病であっても、広範囲に中枢神経系のアセチルコリン系神経の機能が低下し、ADよりもその程度が大きいことが示されています7)8)

1)Bourke, D.:Ann. Pharmacother., 32, 610-1(1998)[ART-0104]

2)Magnuson, T.M. et al.:Am. J. Psychiatry, 155, 1458-9(1998)[ART-0105]

3)Arai, M.:Intern. Med., 39, 863(2000)[ART-0331]

4)柳沢信夫編:パーキンソン病−診断と治療−, 金原出版(2000)

5)Selden, NR. et al.: Brain., 121, 2249-2257(1998)

6)Lee, MS. et al.: Yonsei Med J, 41, 167-184(2000)

7)Bohnen, NI. et al.: Arch Neurol, 60, 1745-1748(2003)

8)Tiraboschi, P. et al.: Arch Gen Psychiatry, 59, 946-951(2002)

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