アリセプトについて たしかめてください、患者さんの「認知機能」

アリセプトのすべて

第Ⅶ章 注意すべき副作用とその対処法

アリセプトの副作用として報告されている悪性症候群(Syndrome malin)について教えてください。

アリセプトによって悪性症候群が発現する機序は明確になっていません。アリセプトの副作用として、悪性症候群が1例/4429例(0.02%)が報告されています(軽度・中等度・高度のアルツハイマー型認知症承認時及び再審査終了時、レビー小体型認知症承認時)。

悪性症候群では無動緘黙※1、強度の筋強剛※2、嚥下困難、頻脈、血圧の変動、発汗などが発現し、それに引き続き発熱がみられます。

悪性症候群の発現機序は十分に明らかにされていませんが、骨格筋異常説、ドパミン機能不全説、ドパミン/セロトニン不均衡仮説、GABA欠乏仮説などが唱えられています2)

アリセプトと悪性症候群との関連も同様に明確ではありませんが、アリセプト投与によりアセチルコリンが増加するため、ドパミン、アセチルコリンのバランスが崩れドパミン系の機能に影響を及ぼす可能性が考えられます。

上記のような悪性症候群が現れた場合は、まずアリセプトの投与を中止してください。また、体冷却、水・電解質管理などの全身管理とともに適切な処置を行ってください。なお、発熱は中枢性であるため、経口・経腸の解熱剤は効果が低いので、体表からの冷却を行ってください1)

 国内における悪性症候群の症例報告3)

患者: 60歳代男性
(約9ヵ月前、スルトプリド塩酸塩により悪性症候群の経験あり)
経過: アリセプト3mg投与開始

アリセプト5mgに増量。

突然、筋肉硬直、意識レベルの低下、発熱などの悪性症候群を発症。アリセプト及び併用薬剤を全て中止。

経口薬服用不能。補液2500mL/日投与。

ダントロレンナトリウム20mg4A静注、乳酸ビペリデン5mg1A筋注、補液2000mL投与、ジアゼパム10mg1A静注。また、セフォゾプラン塩酸塩2gの点滴施行。(2日後まで同処置)

筋肉硬直、発熱、意識レベルの低下などが改善したため、流動食を開始し、ダントロレンナトリウムなど悪性症候群の治療は中止。

症状回復。アリセプトの投与は中止したまま、その他の経口薬を再開。

本例における併用薬

トリヘキシフェニジル塩酸塩、スルトプリド塩酸塩、レボメプロマジンマレイン酸塩、ハロペリドール、シサプリド、クロルプロマジン塩酸塩・プロメタジン塩酸塩・フェノバルビタール合剤

1)

厚生労働省 重篤副作用疾患別対応マニュアル(平成20年4月)−悪性症候群−:
http://www.mhlw.go.jp/topics/2006/11/dl/tp1122-1j01.pdf

2)

田所千代子ら:臨床精神医学, 22, 1149-56(1993)

3)

エーザイ社内資料

※1 無動緘黙むどうかんもく

緘黙=無言症。無動緘黙は、脳の器質性障害による無動無言状態のことで、軽い意識混濁のある特殊な状態である。

※2 筋強剛きんきょうごう

筋の緊張が亢進した状態は硬直(強剛、固縮)と痙縮に分けられ、硬直は錐体外路系の疾患に多く、痙縮は錐体路症状によって出現するといわれている。硬直の状態では屈筋も伸筋もたえず緊張が亢進している。被動運動に際しては屈伸両方向に始めから終わりまで、ほぼ一様な抵抗を感じ、ちょうど鉛の管を曲げる感じに似ているので、鉛管様硬直という。また、被動的に姿勢を変えられるとそのままにとどまっていることが多く、プラスチック硬直と呼ばれる。

(全て最新医学大辞典 第3版より)

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