認知症いろいろ たしかめてください、患者さんの「認知機能」

Dementia Support 2011 Spring

毎週1回行われる介護予防教室はればれ。仲間と会うのも大きな楽しみ

地域連携ルポ

認知症予防のできる町をつくる

鳥取県琴浦町

認知症予防対策に取り組んでいる自治体は多いが、それを何年も継続しているところとなると、数えるほどといってよいのではないだろうか。鳥取県のほぼ中央に位置する人口約2万人の琴浦町では、2004年度から認知症予防教室を開催。以降、明らかになった問題や課題を解決するために少しずつ形を変えながら、途切れることなく今日まで続けている。琴浦町のこれまでの歩みは認知症予防に取り組む他の地域の人々にとっても、大いに参考になるに違いない。

家族の声に突き動かされて行政が動きだす

 旧東伯町役場健康福祉課の藤原静香氏が在宅介護支援センター(以下、在介センター)で認知症の電話相談を担当したのは2003年のこと。しかし電話がかかってくることはめったになく、たまにかかってくると、重症になって困り果てた家族の泣きながらの訴えばかりだった。なぜ、もっと早く連絡してくれなかったのか──問題意識を強くもった藤原氏は相談できる認知症の専門家を探しまわった。偶然にも米子市にある鳥取大学医学部に認知症研究の専門医である浦上克哉教授がいることがわかり、すぐに訪ねてこう懇願した。「東伯町に協力してください」。藤原氏の強い思いを受け取った浦上氏は、その場で協力を約束した。

 そこでまず立ち上げたのが認知症対策委員会であった。これは認知症対策を町の最重要課題と考え、各組織代表者でその方向性を検討する会で年2回開催されている。

 藤原氏らは当初、講演会の開催を考えていたが、浦上氏と鳥取大学総合メディカル基盤センター准教授井上 仁氏らが開発したタッチパネル式コンピュータによる「もの忘れスクリーニング検査」が商品化されたことや、普及啓発とスクリーニングを同時に行ったほうがよいとの浦上氏からのアドバイスもあり、04年度から認知症予備軍を早期発見する「ひらめきはつらつ教室(以下、ひらめき教室)」をスタートさせた。

 ひらめき教室は、65歳以上の介護保険未申請者を対象に開く。教室では、認知症の理解に向けてのミニ講演とタッチパネル式コンピュータを用いてスクリーニング検査を行う。この1次検査は遅延再認、日時の見当識、図形認識の三つの検査項目からなり、所要時間は約4分と短く、受診者にそれほど負担にはならないという特長がある。15点満点中、13点以下の人は、同様にタッチパネル式コンピュータを使って行う2次検査「TDAS」の対象者となる。TDASはAlzheimer's Disease Assessment Scale(ADAS)を参考にして作成されたテストで、7〜13点が軽度認知障害(MCI)、14点以上が認知症の疑いがあるとし、神経内科医が診察、結果説明をして、精密検査が必要な人には専門医療機関への紹介を、MCIの人には「ほほえみの会」への参加を促す。ほほえみの会は、血圧測定から始まり、体操や音読、計算などのプログラムが盛り込まれている認知症予防教室である。介入効果を評価するために必ず教室の前後でTDASを行う。

 ひらめき教室の大まかな流れは、その後も基本的には変わっていないが、実施していく中で出てきた問題点や課題などに対応しながら、少しずつ変化させている。

浦上克哉(うらかみ・かつや)

鳥取大学医学部保健学科生体制御学講座・ 環境保健学分野教授

医学博士。1983年鳥取大学医学部卒。同大医学部 脳神経内科講師等を経て、2001年から現職。09 年同大学医学部保健学科生体制御学講座代表、10 年同保健学科検査学専攻・主任。第13回ノヴァル ティス老化及び老年医学研究基金受賞、第9回日本 認定内科専門医会研究奨励賞受賞。

藤原静香(ふじはら・しずか)

鳥取県琴浦町役場健康福祉課地域包括支援センター主査

1982年旧東伯町役場保健師として就職。 2003年在宅介護支援センター係長、06年地域包括支援センター、10 年から現職。10年12月5日に鳥取県米子市で開催された日本認知症ケア学会2010年度中国地域大会で演題発表IIIの座長を務めた。

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