認知症いろいろ たしかめてください、患者さんの「認知機能」

Dementia Support 2011 Spring

地域連携ルポ

認知症予防のできる町をつくる

専門医の協力があったから継続できた

琴浦町の認知症予防を支えるスタッフたち

琴浦町役場健康福祉課地域包括支援センター
圓山千嘉子さん(左上)。
介護予防教室はればれの指導員・岡真澄さん(右上)、中本順子さん(左下)、石谷麻有さん(右下)

 ひらめきはつらつ教室を始めたころ、「うちの親が健診を受けて認知症じゃないかと言われ、ショックで何も食べなくなった。なんてことをしてくれたのだ」と在介センターに怒鳴り込んで来た男性がいた。あるいは、認知症予防教室に通いはじめた人に、「あんなところに行ったら、かえってボケるからやめたほうがいい」と助言する住民もいた。また、心配するからと家族に内緒で2次検査を受けてきた高齢者もいた。このような状況を藤原氏は「すべては、認知症が正しく理解されていないことが原因」と考え、「だからこそ認知症啓発活動が重要であると痛感しました」と話す。

 6年経った今、住民の意識は間違いなく変化している。2次検査対象の高齢者に家族が「2回も検査を受けられてよかったね」と積極的に受診を勧めたり、家族が「予防教室に行ったほうがいい」と本人を連れてきたりするといったことも珍しくなくなっている。また、この取り組みを始める前は重度の人の相談ばかりだったのが、最近はそれがかなり減ってきている。

 ここまで変わった大きな理由は、藤原氏らの取り組みが継続され、認知症に対する住民の理解が深まったからにほかならない。では、どうして継続できたのだろうか。藤原氏は浦上氏の存在を第一に挙げる。

 「ミニ講演などで毎年、何十回と当町に足を運んでくださいました。専門の先生のお話を直接聞けることが住民の皆さんの参加を促しました。また、浦上先生は地域のかかりつけ医とも連携をとってくださり、診断後のフォロー体制が整えられたことも住民にとって大きな安心でした」

 次に指摘したのが地域の組織力だ。琴浦町の65歳以上の高齢者は約5,800人。そのうち3,000人が老人クラブの会員だ。「目の細かいネットがあったので情報を個人まで届けられました」と評価する。

 一方、これまで琴浦町の活動をさまざまな形でサポートしてきた浦上氏は、どのような思いで見守ってきたのだろうか。

 「一見、健康に暮らしていると思われる人の中から認知症の人を早期に発見する琴浦町方式は理想に近い形だと思っています。この健診スタイルは藤原さんたちが最初に始めたもの。お手本はよそにはありません。彼女らは模索しながら森を切り拓き、道を作ってきました。その努力をなんとか実らせてあげたい、そう思ってお手伝いしてきました。認知症対策は行政、医師会、現場の福祉の方、そして専門医のバックアップがあれば完璧です。しかし残念ながら、最初からそれらすべてが揃うことはまずありえません。片や、認知症の方は日々増えており、全国的な視点からもそれを予防しなくてはいけないという切羽詰まった現実があります。それを考えると、琴浦町のようにとにかくスタートさせて、走りながら考えるやり方を取るのがよいと思います。琴浦町の取り組みを参考に、ぜひ各地域でやれることから始めてほしい、長く続けてほしい、心からそう願っています」

 認知症予防はもはや国全体が取り組む課題だ。浦上氏は今年、第1回日本認知症予防学会を9月に米子で開催する。浦上氏はこの学会で琴浦町の取り組みを紹介し、予防の輪を広げたいと考えている。

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