認知症いろいろ たしかめてください、患者さんの「認知機能」

Dementia Support 2011 Spring

座談会

─服薬管理という視点から─

認知症の人が安心して暮らすために

認知症の人の在宅支援の一つに服薬管理がある。特に独居や高齢者夫婦だけの場合、誰がどのように服薬管理をしていくかは大きな問題となる。実際に現場のケアスタッフはどのように関わっているのか、神奈川県横浜市金沢区で在宅ケアに携わっている現場の皆さんに語っていただいた。司会は高齢者医療に長年携わってきた八森 淳氏にお願いした。

認知症の人との信頼の輪を広げていく

「信頼の輪を広げていくことが認知症の方の安心につながります」

八森 淳(はちもり・あつし)

公益社団法人地域医療振興協会地域医療研究所地域医療研修センター副センター長

1991年自治医科大学医学部卒業。国保六戸町立病院、国保百石病院、百石町保健福祉センターなどを経て2004年4月から現職。日本認知症ケア学会評議員。プライマリケア学会認定指導医。『現代地域医療のパラダイム』(みらい)共著他。

八森

最初に、簡単な自己紹介をお願いします。

大友

私は11年ほど前から金沢区の六浦地域ケアプラザに勤務しております。部署はいくつか変わりましたが、一貫して相談業務に携わってこられたので、地域の民生委員や地域の医師の方々、またここにいる大原さんや青柳さんとも顔の見える関係ができています。

大原

金沢区で調剤薬局をやりながら介護支援事業所で非常勤のケアマネジャーをしています。現在20人前後の利用者を担当しています。

青柳

公平中立な立場でサービスを提供したいと思い、2001年6月に金沢区で第1号となる独立の居宅介護支援事業所を立ち上げました。本来、ケアマネジャーの利用者への訪問は月1回でよいのですが、私は現場が大好きなので、特に独居の利用者ですと近所に行くと顔を出しますので1日10人ぐらいのお宅を回ることもあります。

八森

私は自治医科大学を卒業後、青森県内の病院や診療所で外来や在宅診療を通して、認知症に携わってきました。今は地域医療振興協会が受託する市立伊東市民病院での研修医教育と老人保健施設の管理者をしています。金沢区では、関心のある住民の方たちと地域で認知症の人の生活をどうサポートするかという勉強会に関わらせていただいています。
大友さんが関わっている方で、薬に関係した話があると伺いましたが、いかがですか。

大友

民生委員から、一人暮らしの女性が最近ゴミを間違って出したり、物がなくなったと近所を探し回ったりするようになったと相談がありました。2度ほどその人を訪ねたのですが、「何も困っていません」と受け入れてくれませんでした。どうしようかと思っていた矢先、本人が友人に連れられてケアプラザに来ました。友人が、様子がおかしいとその方を大学病院を受診させたところ認知症と診断され、専門医から地域包括支援センターに相談しなさいとアドバイスされたのだそうです。それで親族とも連絡がとれ、改めて週1回訪問して信頼関係を築くようにしました。薬は、大学病院から2週間分のアリセプトが処方されていたのですが、一度紛失したことがありました。そのときは親せきが見つけて事なきを得たのですが、次の受診で4週間分の薬が処方されました。薬を全部なくしたら医療保険の関係上、その月に再処方してもらうのは難しくなるので、きちんと服薬管理をしたほうがよいと判断し、薬剤師の大原さんにお願いした次第です。

大原

初回訪問の際に、大友さんが本人に私を紹介してくださり、その後は私一人で毎週1回伺って1週間分の薬を手渡ししています。最初のころは「どこの薬局さんですか?」と毎回聞かれていましたが、最近は“大友さんの仲間”と思ってくださっているようです。

大友

今はその方はかかりつけ医にかかっているのですが、先日そのドクターから「随分落ち着かれましたね。薬の効果もあったのでしょうが、いろいろな人がうまく関わったことで安心されたのでしょう」というメールをいただきました。

八森

今の事例のポイントは、大きく三つあると思います。一つは友人が専門医への受診を後押ししたこと、二つ目は「専門医が地域包括支援センターに行きなさい」とアドバイスしたこと。三つ目は、大友さんがその方と信頼を築いて、その関係を意識してつなぐことで大原さんが信頼され、服薬管理がスムーズにいっていることです。大友さんはどのようにして信頼関係をつくっていったのですか。

大友

やはり私の笑顔でしょうか(笑)。初めのころは不審がられないように、民生委員や親せきと一緒に訪問していました。

八森

民生委員や親せきから大友さんに、大友さんから大原さんというように、本人との信頼の絆が紡がれていったのですね。青柳さんは、ケアマネジャーとして認知症の人とどのように信頼関係を築いていますか。

青柳

最初は私の顔と名前を覚えていただくために何度も足を運びます。「赤貝のアオヤギです」とかいろいろ言って(笑)。1週間ぐらい通っていると、皆さん「あんたの仕事、大変だね」などと言ってくださるようになります。また、初回サービスのときは必ず私が同行し、「この方は私の紹介です」と声掛けをします。そうするとご本人は安心されるようです。デイサービスに行く日などどこに連れていかれるかわからないと不安に思われるようなときは、送迎車に一緒に乗ってデイサービスまで付き添うこともあります。

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