認知症いろいろ たしかめてください、患者さんの「認知機能」

Dementia Support 2011 Spring

認知症の人を支援するケアマネジメント

変化に対応しながら長期の在宅生活をチームで支える

援助経過

 1997年ころ、認知症の症状が出現し、近所の開業医に「認知症」と診断された。しかし、詳しい検査は受けておらず、薬の投与もされていなかった。介護保険開始後、サービスの利用を開始する。現在のケアマネジャーとの関わりは2004年からで、Aさんにとっては3人目のケアマネジャーである。

1食事・排泄等、基本的な体調を整える

 05年ころから、食べることを拒否するようになり、度々脱水症状に陥り、2度入院した。以後は、現在の主治医に月2回の訪問診療を依頼し、かかりつけ医としての役割を担ってもらっている。

 仙骨部に床ずれや皮膚のただれがあり、その対応や、発熱の場合などには緊急時の往診を依頼している。また、訪問診療と同時に訪問看護も利用し、体調の管理や床ずれ処置、また生活上のアドバイスや入浴の介助をしてもらっている。

 最も大事な食べることへの支援は、長男の一番の仕事である。とろとろのご飯を主食にして、喉ごしの良いものを中心に食べさせるが、口をへの字に曲げて食べないこともある。その時には、経管栄養剤の経口を併用するなど、さまざまな工夫をしている。本人の状態がわかるようになってからは、脱水は少なくなってきた。ただ、月に一回程度の頻度で感染による発熱があり、看護師・主治医の連携により、抗生剤や解熱剤などの処方がすぐになされるようになった。水を飲むのを拒否するAさんだが、イオン飲料は大好きで飲んでくれる。これも、長男が根気よく時間をかけ、本人の状態を見ながら、いろいろ試行した結果である。

 排泄は、腰痛の長男と交代し、妻が担当した。それまでは1日に1回は、2人で抱えてトイレへ連れていっていたが、長男の腰痛が悪化し、本人も尿意や便意が不確かになったため、おむつ使用になっている。妻は、便秘の時は浣腸や摘便もできるようになった。妻が忙しくどうしても対応できない時は、ヘルパーに依頼することになった。

 Aさんは3〜4日に一晩、寝ない日があり、長男の寝不足の原因となっているが、長男は昼夜逆転もパターンの一つと思って、それに付き合い、あまり気にしていないようである。

2デイサービス利用で本人に笑顔が見られた

 08年、家族の介護負担を軽減しようとデイサービスの利用を提案したが、長男はAさんの頻回な脱水を心配して、他人に委ねることを躊躇した。そこで主治医の診療所が運営する小規模のデイサービスを紹介し、見学してもらった。Aさんがしっかり入浴できることや、ほかの利用者、職員とのふれあいでにっこりしたり、抱えられると体を動かしたりするのを見て、長男はようやくデイサービスの利用を受け入れた。週1日の通所が当たり前の日課になり、そのときは食事は7割くらいとっている。そこでは車いすに座ることも多くなり、今は座位バランスの訓練もしている。

 また若い職員が動く姿を見たりすることが刺激になっているようで、笑顔やうなづきが多く見られるようになった。デイサービスの看護師も床ずれや皮膚の処置をし、浮腫が出現したり何か異常があった時には、速やかに主治医に連絡、主治医が即応してくれている。デイサービスの日は、家族がゆっくりできる1日ではないかと思われる。

2ショートステイ利用で家族の生活が回復

 長男の妻の大学行事に合わせて、毎月2泊3日、老人保健施設でのショートステイを利用している。長男は、Aさんのために紹介した施設は必ず見学している。定期的に受け入れのできない施設やトラブルになった施設もあったが、現在の3ヵ所目でようやく落ち着いた利用になっている。利用を重ねるにつれ、妻も安心して学会等に出掛けることができるようになった。

 ショートステイでは食べることを大事にしてくれており、甘いものが好きなAさんのために、おやつのどら焼きもミキサーにかけて食べさせてくれる。長男は、ショートステイ利用中は必ず訪ねているという。

2介護・医療、家族のチームで支援

 Aさんの支援では、介護と医療の連携を積極的に図ってきた。Aさんが利用する訪問看護やデイサービスは、主治医の診療所に隣接し、同じ法人の運営である。そのため、Aさんの体調の変化の際には、主治医へ素早く報告がなされ、タイムリーな対応をしてもらえる。

 本人から言葉が聞かれない人のニーズをつかむのは難しいが、本人の体調や表情に目配りし、思いをくみ取りながらケアすることが重要である。同時に、家族の体調にも配慮し、介護に対する悩みなどにも耳を傾けていく必要がある。

 介護に熱心な長男は、「うちのお母さんはすごい人なんですよ」と、Aさんの元気だったころの話をしてくれ、母親をとても大切にしている。そのため、長男は頑張りすぎて腰痛になってしまったが、思うように介護ができなくなってからは、介護サービスとうまく連携している。

 本人や家族の変化を一早く察知し対応するには、訪問看護やデイサービス等からの情報を得て、本人や家族の状態がわかったうえで、ショートステイの手配やベッド・除圧マットのレンタル等を行ってきた。また、家族からショートステイに対する不満や対応について聞き、食事や排泄等の方法について施設側に配慮をお願いした。さらに、車いすやシャワーチェア等の手配、手すりや浴室ドアの変更等、住宅改修も行った。

 介護サービスを利用しているといっても、週3日であり、大半は家族の介護に委ねられている。現在は今の回数で継続を希望しているが、家族も年をとるに従い、ケアプランのあり様も変化していくであろう。その時々に合わせた形で、チームケアを続けていく必要がある。

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