認知症いろいろ たしかめてください、患者さんの「認知機能」

Dementia Support 2011 Spring

認知症の人を支援するケアマネジメント

変化に対応しながら長期の在宅生活をチームで支える

考察(2/2)
1長期間のケアをどう支えるのか

 本事例では長期間にわたり在宅介護をしている。在宅での家族介護と介護保険のサービスをミックスしながら、この長期間を支援してきたが、この間にはAさん本人の心身の状態変化だけでなく、介護者の身体、健康状態等の変化により、介護力の変化がみられ、そうした変化に合わせて支援をしてきたところに特徴がある。具体的には介護者については、長男の腰痛、あるいは長男の妻の常勤職から非常勤職への移行や、さらには出張に合わせて、それらの状況に必要なサービスをつなぐ支援をしてきている。

 そうした中で本事例では、介護者が介護意欲を長期間にわたって継続して維持をしてきている。この背景には、長男夫婦の親に対する思いが大きいことがある。長男の、「うちのお母さんはすごいんですよ」との発言にみられるように、肯定的に親を捉えることができていることが大きい。その一方では、肯定的な見方を支えるケアマネジャーの役割も重要である。具体的には、長男や長男の妻からの悩みに、一緒になってそれを受けとめ、時には、さまざまなニーズに合わせるサービスを提供することが、こうした肯定的な思いを持続させる要因になっているといえる。

2サービス利用への家族の参加

 本事例では、Aさんの意思表示が十分でない中で、介護者がサービス利用には大きく関わっている。長男は、サービス利用を決定する際には事業者へ出向き、サービス内容等の確認を行い、利用するかどうかの判断をしている。本来であれば利用者自身が決定しなければならないサービス利用について、このように長男の関わりの中で慎重にサービスを選択をしていることは、家族がケアプラン作成に参加しているということであり、その意味では、ケアマネジャーと家族との緊密な関係の中で、ケアプランが進行していることを意味している。

 同時に家族もケアプランの中身に信頼をおき、最終的には、ケアマネジャーに信頼をおいた関係を形成している。そのことが、安心した在宅生活をしていくことを可能にしているといえる。

 認知症の人のように、意思表示が十分でない場合には、家族が単に介護の負担をするということだけでなくて、サービス利用にも積極的に関わるような支援をしていくことが重要である。

3ケアマネジャーとサービス事業者との連携

 本事例ではさまざまなサービスが活用されている。具体的には、デイサービスやショートステイ、訪問看護、訪問介護、さらには在宅生活が長期にわたるということで、身体的な低下に伴い移動を介助するための車いす、床ずれ防止用のマットをレンタルするなど福祉用具を活用している。こうした中で、本事例の大きな特徴は、ケアマネジャー自身が事業者と積極的に関わるだけでなくて、事業者間で連携ができるように支援をしている点にある。そういう意味では、単にケアマネジャーと他の事業者の連携だけでなく、事業者間の連携も含む有機的な連携をしているところに特徴がある。

 同時にそれらの事業者でのケアプランについても、本人を中心に据えてサービス内容が実施されている。デイサービスは、家族の介護負担の軽減を目的に活用されている側面も強いが、認知症の人にとって一定のサイクルでの生活を支援していくという意味でも有効である。また、職員とのふれあいで笑顔が見られるようになるなど、本人を活性化する場として位置付けられている。

 また、ショートステイは、単に家族の介護負担軽減だけが目的ではない。本人が大好物のどら焼きをミキサーにかけて食べさせてくれており、そういう意味で、デイサービスやショートステイが、本人が好きなものを楽しみ、好きなことをやれる場として位置付けられている。

 このように、単に家族の介護負担軽減という側面だけでなく、本人にとってもどういう意味があるのか、ということを明らかにしながら、サービスを位置付けていることが大変評価できる。

※本文中の事例は、本人のプライバシー保護を考慮し、内容を変更しています。

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