認知症いろいろ たしかめてください、患者さんの「認知機能」

Dementia Support 2011 Spring

センター方式で互いの可能性をひらく(6)

「私」が主人公、シートで気づき介護と医療のチームが育つ

本人と向き合い、見ること聴くこと

 07年、Aさん(当時80歳代)を担当した。認知症はかなり進んでいたが、周辺症状はほとんどなく、高血圧があるほかは元気だった。夫や長男・長女を亡くし、一人暮らし。同じ市内に住む次男が主介護者だった。

 訪問するたびに、高木さんは違和感をもった。それは、Aさんとホームヘルパーがいつも別々の部屋にいたからだった。Aさんは居間でぽつんと一人、ホームヘルパーは台所。Aさんは、高木さんが隣の部屋に行って戻るたびに、「初めまして」と挨拶するくらい記憶障害が進んでいた。

 「そんな人に対して、こんなに離れて支援していて、本当に本人が望んでいることが支援できているのだろうか。本人のできることやわかることが把握できるのだろうか。Aさんともっと向き合ってほしい」と思った。

 また、ホームヘルパーは5人いて毎日入っているが、連絡帳にその日の様子を記入しても、その情報が各自の主観に偏りがちだった。互いに何をやっているかわからない、情報が共有できていない。そこでセンター方式を使うことにした。導入に際しては定期的にカンファレンスを開いた。

 第1回目、何が始まるのか、皆シーンとしていた。まず認知症についてレクチャーし、何で支援にセンター方式が必要なのか繰り返し話した。

 「“共通の5つの視点”は、本人が望むケアをしていくうえでとても大事なこと。その視点で向き合えば、この人が元気になるんやと。みんなポカンとしてました」

 とにかく試してとC-1-2とD-3を渡した。

 C-1-2には本人の姿を描くが、最初高木さんが描いてみせ、ホームヘルパーに描いてもらった。描けないという人もいた。

 「絵ってよく見てないと描けないもんやね。これまで本人を見ていたようで見ていなかった」と、
あるホームヘルパー。業務の中で忘れていた、本当に大切な本人支援の意味を発見したのだ。

 図1は、絵は高木さんで、言葉はホームヘルパーが集めたものだ。

 「京都の女は丈夫です」
 「今は50歳です」
 「だんない、だんない」(どうもない、大丈夫の意味)

 Aさんは昔から織物の仕事をし、今もその仕事に就いていると思っている。「黒板に出先を書いとくね」と言うのは仕事場にいるからだ。仕事に対する愛着がある。働き盛りで家族皆が元気だった50歳のころで時間が止まっている。息子である次男を頼りにし、案ずる気持ちも強い。

 彼女たちがAさんを見て聴く中で、Aさんの人生や人柄が生き生きと浮かび上がった。

図1 C-1-2 私の姿と気持ちシート

C-1-2 心身の情報(私の姿と気持ちシート)

絵は高木さん、情報は5人のホームヘルパーが収集。息子のことを案じいつも新聞を読んでいるAさん。
「京都の女は丈夫です。どこもなんともない」。
働き者でおおらかで、ホームヘルパーへの気遣いができる、その人柄がよく表わされている。
●は私が言ったこと、△は家族が言ったこと、○はケアする人が気づいたこと

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