認知症いろいろ たしかめてください、患者さんの「認知機能」

Dementia Support 2011 Spring

センター方式で互いの可能性をひらく(6)

「私」が主人公、シートで気づき介護と医療のチームが育つ

D-3を連絡帳代わりに、気づきを収集

 高木さんは、D-3シートをA3サイズに拡大して部屋に置いた。毎日入るホームヘルパーが連絡帳代わりに記入する。1ヵ月分溜まると、モニタリングで訪問する高木さんが引きとってD-1(私ができること・私ができないことシート)、D-2(私がわかること・私がわからないことシート)に集約し、ケアプランに反映する。D-3は次男にも見せる。次男はAさんの状況がわかる。

 「紙が大きいと書きやすいし、記載自由としました。決まりを設けると面倒くさいでしょう」。現場の使い勝手を考えた工夫だった。

 食事・水分摂取、排泄の状況が記され、気づいたことや私の願いも記される。字体も違えば目線も異なる(図2)。

 第2回目のカンファレンスはにぎやかなものになった。気づきが次々と皆の口をついた。

 「誰も口腔ケアしてないね。ほな、ケアプランに入れなあかんな」
 「リハビリパンツ(紙おむつ)交換のとき、“こんなことさしてごめんね”って。Aさん、他人を気遣う力がある」
 「Aさんは夕刊を読んではるけど、“へえ49歳で出産やて、すごいな。子どもはかわいいなあ”と、いろんなことに関心がある」

 日を追うごとに気づきが積み上がって、関わる介護スタッフの意識が変化しケアが変わっていった。

 「その日のことや前日のことも一目でわかる。1週間並べてみると、いつ排便が起こるかそのパターンや、水分や食事摂取との関係もわかる」。そうした気づきから、ルーティンの業務も統一したケアを必要なとき必要なことを的確に行えるようになった。

 Aさんのもてる力を見出すケアも実践された。ケアスタッフに掛けるAさんのちょっとした言葉から、「人を気遣う力がある」と気づいた。新聞を毎日読み、外部に関心をもつこともそうだ。そういう力を発揮している場面を止めたり、急かしたりしないで、できることを尊重した。

 高木さんは、ホームヘルパーと本人が一緒にいる時間のほうが大事と考え、食事は配食にすることにした。

 第3回目のカンファレンスでは、Eシート(ケアプラン導入シート)を使った。

 「表記が時系列になっているので、“この時間はこうや”と状況が報告され、“今の願いってなんやろ”、“支援で足らんことはなんやろ”と話がどんどん出てきました。ホームヘルパーさんが目を輝かせていろんなことを言ってくれるのは嬉しかった」

 定期的なカンファレンスは、情報とプランの確認、方向性を皆で統一するうえで役立った。また、シートを欲張らず、C-1-2、D-3に絞ったのもよかった。特にD-3は、日々変化するAさんの情報を更新するには使いやすい。使いやすいことが長続きするポイントだ。

図2 D-3 生活リズム・パターンシート

D-3 焦点情報(生活リズム・パターンシート)

D-3シートはA3サイズに拡大して利用者の家に置く。毎日入るホームヘルパーがそれぞれ連絡帳代わりに記入。
水分・食事摂取、排泄の記録とともに気づきやAさんの言葉が拾われている。1週間の変化が1枚を一目してわかるので心身のリズムがつかめる。またホームヘルパーがそれぞれの目線でAさんを見て多様な気づきができている。ケアマネジャーはケアプランに活かすと同時に家族にも見せ 状況を理解してもらう。

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