認知症いろいろ たしかめてください、患者さんの「認知機能」

Dementia Support 2011 Spring

認知症ケアに役立つ本

認知症ケアの心
ぬくもりの絆を創る

長谷川和夫 著
中央法規出版 刊
1,800円+税

認知症ケアの心 ぬくもりの絆を創る

 著者は「長谷川式認知症スケール」の開発者として著名であり、多くの認知症の人の治療をしてきた。その長年にわたる認知症の人との関わりの中から学び考えてきたことが本書に著されている。

 あるとき、以前診察をしていた牧師が五線譜に書いたメモを、牧師の奥様から手渡された。「僕にはメロディーがない 和音がない 頭の中にいろんな音が 秩序を失って騒音をたてる(略)帰って来てくれ 僕の心よ 全ての思ひの源よ(略)」。この詩を見て著者は最初言葉を失った。だが、牧師の思いを知り、新たに病気に挑戦する勇気を与えられた。

 やがてこうした数々の経験は、本人を中心とするケア(パーソンセンタードケア)が重要であという考え方に著者を導いていく。医師として関わるのは、認知症の人の病気だけでなく、本人が何に悩み、どのような不安や苦しみをもつのかを知り、その人自身に関わることであると説き、「生きることへのケアが究極にはある」と述べている。

 また、認知症と診断しても適応薬がなかったころの苦悩についても触れている。医師として何とかして患者の力になりたいと、新薬(アリセプト)の開発にも協力してきた。7章に、数多く講演の機会をもつ著者が来場者の立場を考えて工夫してきた話が紹介されているが、エーザイのMR向けの講演では「エーザイ社のMRこそ、アリセプトを臨床医に届ける唯一の立場であること」を伝え、治療薬が多くの認知症者のもとに適切に届けられることを訴えている。

 巻末には恩師の新福尚武精神医学総合研究所所長との対談があり、新福氏から「これからは症状が出現する以前の期間に重点を置いて研究を」との提案に、その方向に進めるべきと著者も応じている。今後も認知症への挑戦を続けるという著者の決意表明の書といえる。

27ケースから見る
ショートステイ安心ケアのポイント

時田 純 監修
高坂智子 著
筒井書房 刊
1,800円+税

27ケースから見る ショートステイ安心ケアのポイント

 在宅サービスの中でも、ショートステイは本人の情報が少ない。特別養護老人ホームで暮らし普段から生活をみている人や、デイサービスのように定期的に利用している人とは異なり、月に何日かの利用や初めての人の割合が多いからだ。そのため、「糖尿病のインスリン投与がある人の受け入れ」「徘徊がある人の受け入れ」など、利用者のニーズに応えるのが難しいと受け入れを断る施設も少なくない。

 一方、高齢化と要介護度の重度化が近年進んでおり、こうした利用者は今後ますます増えていくと予測されている。また、利用を希望する人は緊急で連絡してくる場合もある。ショートステイの受け入れ態勢の整備は、今や緊急課題といえる。

 著者は小田原にあるショートステイ施設「れんげの里」(定員40名)で看護課長を務め、数多くの利用者を看てきた。中にはターミナルや難病の人も含まれているが、病状が理由で断ったことはほとんどない。なぜそれが可能なのかが、本書で明らかにされている。

 第2章では、重度の疾患や認知症の人への対応など、さまざまなニーズがある利用者を受け入れている「れんげの里」がもつノウハウが、27事例を通して具体的に紹介されている。中には「心不全を起こし救急車で緊急搬送した事例」もあるが、そうした場合にも対処する方法と、同施設がこうした場合に活用する「緊急連絡シート」「緊急シート」が図表とともに書かれている。そのほかに「夜間申し送り票」「予見マニュアルシート」など、同施設のシートも掲載されている。

 本書によって、これまで受け入れにくかったケースについて、どのような対応をすれば可能になるかといったヒントが生まれてくるのではないだろうか。

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