認知症いろいろ たしかめてください、患者さんの「認知機能」

Dementia Support 2011 Spring

Dementia Today

第11回日本認知症ケア学会が神戸で開催 テーマは「認知症の人と家族とともに」

2010年10月23日(土)と24日(日)の2日間、第11回日本認知症ケア学会が神戸国際展示場で開催された。
「認知症の人と家族とともに」のテーマのもとに、約3,000人の認知症に関わる人々が全国から一堂に会した。

340題のポスター発表が行われ、発表者と参加者との活発な議論が交わされた

 今回のテーマを「認知症の人と家族とともに」とした趣旨について、同大会の会長を務める大阪市立大学大学院教授の白澤政和氏は開会の挨拶で「認知症の人や家族が主人公であり、その主人公を認知症ケアに関わる実務者や研究者が支援していくことであると再認識したいとの思いからである」と説明した。そのため、本人や家族の話を聞く機会を設けたので、ぜひ耳を傾け、それに応えるべく自らの実践や研究について見つめ直してほしいと訴えた。

 また、同大会に招聘された韓国老年学会会長ユン・ガヒョン氏は、「日本の認知症ケアの経験やノウハウを2013年にソウルで開かれる国際老年学会でぜひ紹介してほしい」と挨拶した。

 第1日目はそのほか、午前には大会長講演や特別講演、企業共催セミナーなどが、午後には2つのシンポジウムが開かれた。第2日目も引き続き、特別講演やシンポジウムが行われた。また、2010年度日本認知症ケア学会、読売認知症ケア賞の授賞式がとり行われた。大会長講演と企業共催セミナーの概要は以下のとおり。

大会長講演「認知症の人のケアマネジメント」

白澤政和=大阪市立大学大学院生活科学研究科教授

大会長を務めた大阪市立大学大学院生活科学研究科教授の
白澤政和氏

 介護保険開始当初、想定されたケアプランは身体面が低下した人をモデルとしていたが、その後、認知症の人に対応するプランの重要性が指摘されてきた。しかし、そのケアプランも、認知症本人よりも介護者のニーズに応えるケアプランが多いのが現状だ。もちろん介護者も大事だが、何よりも本人が有している能力や意欲、即ち「ストレングス」に着目したケアマネジメントが今求められている。

 ストレングスモデルという考え方は、米国で利用者のニーズを見つけ出しサービスに結びつけるブローカーモデルでは利用者のQOLの向上やコスト抑制に結びつかないとの反省から、1990年代に利用者の意欲、能力、自信などをケアプランの中に活用して支援するものとして生まれた。この考え方により、利用者を肯定的側面から捉えられるようになった。ストレングスモデルで支援することになれば、利用者はエンパワメントすることができる。そのためには、ケアスタッフはBPSDの背景を把握する努力をし、利用者のBPSDが意味することに気づくことが大切だ。

 また、ケアマネジャーは認知症の人の人権を守る支援も忘れてはならない。成年後見制度や日常生活自立支援事業をケアプランに盛り込んだり、地域に向けて広くアドボケート機能を果たすのもケアマネジャーの重要な仕事である。

 地域で暮らす認知症の人が特養やナーシングホームと同質のセーフティネットのある在宅生活を続けていくには、地域のネットワークづくりが欠かせない。それには、地域包括支援センターが地域のニーズを見つけアセスメントし、地域支援の計画を立てて実行し、評価するというPDCAサイクルを推進していかなければならない。

 06年の改正で介護保険の理念に「尊厳」が掲げられた。当大会がそれを具体的にどのように展開していくかを学ぶ機会になれることを願っている。

企業共催セミナー「ドネペジル塩酸塩:治療意義の再考と課題」

繁田雅弘=首都大学東京健康福祉学部教授

 アルツハイマー病治療薬「ドネペジル塩酸塩(商品名:アリセプト)」を服用すると、認知機能や生活動作能力を長期間にわたって維持したり、病気の進み具合を緩やかにすることができるとのデータがある。進行を遅らせることで家族や介護者はより適切な介護ができるようになり、何よりも本人の不安や困惑・混乱を減らすことの意義は大きい。

 効果の程度からみてみると、10mgを服用している人の場合で服用者の7割程度、5mgを服用している人の場合で約6割に効果が認められる。介護時間を長引かせる要因には、無関心や無気力などさまざまな精神症状や行動症候があるが、重度であっても進行を遅らせたり精神的に安定させられることは、介護時間の短縮につながる。

 ドネペジル塩酸塩による症状改善や進行抑制がQOLにどのような影響を及ぼすかという研究も報告されている。それによると、薬を服用しなかった人はQOLを下げ、初めて服用した人および引き続き服用した人はQOLが改善したとの結果が出ている。この研究では、薬の費用以上の経済効果を本人や家族にもたらすこともわかった。

 一方、服薬によって意欲的になり、家事を手伝って失敗し、かえって家族の負担が増えてしまうこともある。だが、こうした本人の行動は薬が効いている証といえる。

 アルツハイマー病では、一つの機能を失い、次の段階に進んでしまうと、その機能を改善させることは難しい。それを防ぐには、早期の段階で治療をすることが重要である。中等度の人が漫然と同じ量を飲み続けるケースが見受けられるが、病状が進行したら早めに10mgに増やし、機能維持に努めることが大切だ。反対に効果がみられない場合には服用を止めるべきだろう。その判断を的確に行うことが、今後の認知症治療を考えるうえでの課題だと痛感している。

企業共催セミナーで講演する首都大学東京健康福祉学部教授の
繁田雅弘氏

日本認知症ケア学会理事長の
本間 昭氏

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