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Dementia Support 2011 Spring

Dementia Today

日本認知症学会イブニングセミナー アルツハイマー病と糖尿病との関連とその治療

2010年11月名古屋で第29回日本認知症学会が開催された(大会長:国立長寿医療センター研究所副所長・柳澤勝彦氏)。アルツハイマー病(以下、AD)の研究は21世紀に入り、基礎研究から治療薬の開発へと、大きく舵が切られている。そうした中、今学会では「病態を踏まえ、予防へ、治療へ」をテーマに、認知症について多彩な話題が盛り込まれた。その中の一つとして、最近注目されている糖尿病とADとの関係をテーマにイブニングセミナーが開かれた。

講演を行った東京医科大学老年病科教授・羽生春夫氏

大会長を務めた国立長寿
医療センター研究所副所長・柳澤勝彦氏

 ADと生活習慣病である糖尿病との関連があることが明らかになってきた。日本で糖尿病が疑われる人は2007年には2,210万人にも及んでおり、この数字は1997年と比べ約1,000万人も増加している。こうした背景からも上記の相関性についての研究は重要なものだ。

 今回「糖尿病とアルツハイマー病」をテーマに講演を行ったのは、東京医科大学老年病科教授の羽生春夫氏。座長は筑波大学神経内科教授の玉岡 晃氏。羽生氏は多くの認知症の患者治療にあたっており、最近では糖尿病患者のAD早期発見についても力を入れている。

 羽生氏はまず、AD治療について触れ、治療薬のアリセプトを早期に投与した患者と遅れた患者を比較し、その後の進行度の変化をみると、治療の遅れは決して取り戻すことができないことがわかると述べ、早期に発見し早期治療することの重要性を指摘した。

糖尿病治療の現場でも認知症早期発見を

 次に、糖尿病と認知症の関連について話題を進めた。糖尿病と認知症との関係では、すでに脳血管性認知症との関連については疫学調査からほぼ100%相関があることがわかっており、糖尿病の人はない人と比べ3〜4倍認知症になっている。また、糖尿病とADとの関連性については疫学データからみると約2倍になっている。ADを「3型糖尿病」ということもあるという。

 糖尿病になると、高インスリン血症(細胞に取り込まれなかった糖が、再度血液中に戻ってインスリンが分泌され、血液中のインスリンが常に高い状態)や脳内インスリン抵抗性が高まるが、これによってADの原因であるアミロイド・ベータ蛋白の分解を抑えられる、あるいは産生が進められると考えられる。この状態がADの発症を促進する。

 あるとき、糖尿病の60歳代の患者が老年病科を受診した。認知症の鑑別診断を行った結果、その人はMCI(軽度認知障害)であったが、2年後にADを発症した。こうしたこともあり、東京医科大学で2005年に糖尿病の患者240名に認知機能のスクリーニングをしたところ28名(推計値、実際には途中で検査を受けなくなった人がいるため)もの人がADであったという結果がでた。

図 糖尿病と認知症との関連

 相関性が明らかになった糖尿病だが、その治療薬によってAD発症を抑える効果があるということも研究されてきている。羽生氏は、糖尿病の薬(インスリン抵抗改善薬)と高血圧の治療薬(カルシウム拮抗剤の一つ)は、AD発症を抑えるという研究があることを、データを示しながら解説した。

 このように糖尿病との関連性が明らかなので、「糖尿病を治療するかかりつけの先生は認知症への関心をもってほしい」と羽生氏は述べ、例えば「昨日の夕食は?」「今日は何日?何曜日?」など、ADで早期に障害される記憶や見当識を診察の中で確認してみることも方法の一つであると紹介した。

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