認知症いろいろ たしかめてください、患者さんの「認知機能」

Dementia Support 2011 Summer

認知症ケアへの新しい風(連載26)

新しい絆を創りましょう

認知症介護研究・研修東京センター 名誉センター長 聖マリアンナ医科大学 特別顧問 長谷川 和夫

 東日本大震災に遭遇された被災者の皆様には言いつくし難い苦しみと悲しみを体験されていることと存じます。一日も早い復興を祈念しております。あの日から私たちは今までの生き方、考え方、そして社会の仕組みに至るまで大きな変換を求められていることは確かな事実と思います。

 認知症ケア専門職の方には、改めて利用者中心のケア、パーソンセンタードケアの原点にしっかり立って歩みを進めていただきたいと思います。

 現在もなお避難所で生活されている『認知症の人、家族等への支援ガイド』が、認知症介護研究・研修東京センターから発信されています。次のように要約されます。

 「認知症になるとストレスに弱くなり、混乱しやすく、心身の状態も悪化したり、家族や周りの人の負担も増強します。そこで、ざわめき・雑音のストレスから守る工夫をしましょう。奥まった場所や出入り口から離れた所を本人と家族らの居場所として確保することです。ひと呼吸でいいからペースを落として、ゆったりと話すことも大切です。

 本人なりに見当がつくように今の情報を話しましょう。そして、少しでも本人にとって『心地よい刺激』をお願いします。寒さ、冷たさ、暑さ、うるさい、眠い等の不快感があると、不安感や怒りの気持ちが高まります。手足を温めてあげたり、戸外の空気を吸うなど、快い刺激を与えてあげましょう。

 落ち着かないときには、説得をしたり、態度や言葉で抑えるのは逆効果です。あわてないで本人に寄り添う気持ちで対応してみてください。本人を支える家族や身内、隣の人や介護職員は本人から目を離せず、周囲に気を使い想像以上に消耗しています。ホッとできる解放される時間を確保することも大切です」

 認知症になると著しい物忘れや失見当等の認知障害のために、親しい人や周りとの絆を失っていきます。ぬくもりのある新しい絆を常に創っていくことが認知症ケアです。私たちの明るい態度と優しい微笑みは、認知症の人にとっては新しい絆を創る第一の条件です。

 私は介護職の皆さんから認知症ケアの核であるパーソンセンタードケアを学びました。私なりに認知症診療にこの理念を活かしていくことを心掛けています。そして最近になってようやく理解し始めました。認知症のご本人の視点に立った診療を目指して、高い富士山のふもとにたどりついた感じで、これから一歩一歩大切に認知症診療の道を登っていくつもりです。

 お互いに“自分らしさ”を大切にして現実の課題に向き合っていきましょう。神様が私たちに平安を与えてくださるように祈ります。

長谷川和夫
1969年 東京慈恵会医科大学教授、73年 聖マリアンナ医科大学神経精神科教授、93年 同大学長、2002年 同大学理事長、05年 同大学名誉教授、現在、同大学特別顧問。01年 認知症介護研究・研修東京センター長を経て、現在、同名誉センター長。医学博士。『認知症を正しく理解するために』(マイライフ社)『認知症知りたいことガイドブック』(中央法規出版)など著書・論文多数。

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