認知症いろいろ たしかめてください、患者さんの「認知機能」

Dementia Support 2011 Summer

私の描くDementia Support

パーソンセンタードケアで穏やかな生活を提供する病院

医療とケアの2本の大樹で支えよう

 今、きのこエスポアール病院の中は、温かく穏やかな雰囲気に包まれている。

 佐々木氏が病棟に行くと、一人の女性が寄ってきて、「いらっしゃいませ、お久しぶり」と声を掛けた。佐々木氏も、「おお、今日もええの着とるな」と気軽に答える。その女性はニコニコしながら、「この先生、面白い人やなと思ってたら、やっぱりそうだったわ」。こんな日常的なやりとりが自然に交わされる。実はこの女性、改訂長谷川式簡易知能評価スケール(HDS-R)で8点の高度のアルツハイマー病の患者だ。

 「結局、こういった評価はその人の全体的な精神的活動の一側面を見るにすぎないということです。その評価でその人すべてを決めつけることは絶対にしてはいけません」

和気あいあいとした雰囲気の病棟内のデイルーム。いるだけで穏やかな気持ちになってくる

 佐々木氏は自分たちのケアについて、「95年ころのスウェーデンはうんと先を行っていて、最後尾も見えないくらいでした。でも、2005年ぐらいには私たちは彼らに相当追いつくことができ、あの辺を走っているなというのが見えてきた。今では、先頭集団に肉薄するところまで来たかなという感じがしています」と自信をのぞかせる。その一方で、憂慮するのが日本全体のケアの現況だ。

 「介護保険制度が始まった直後は、認知症ケアのあるべき姿についてあちらこちらで熱い議論がたたかわされ、さまざまな実践も行われました。ところが、制度が開始され5年経ったころから、制度にどう乗るか、どうしたら基準をクリアできるかといったことに関心が移っていったように思います。最近は、以前よりもレベルがむしろ後退しているところがあるのではないかという感じすらしています」

 自分たちのケアを少しでも多くの人に知ってほしいと04年東京にも進出。千代田区のグループホームを皮切りに、現在、港区や品川区など4カ所で介護施設を運営している。

 佐々木氏が認知症の治療に関わって27年余り。これまでのさまざまな経験を踏まえて、次のように総括する。

 「かつては1本の医療という樹と、そこから宿り木のようにちょっと出たケアの上に認知症の人が横たわっていたような感じでした(図左)。しかし、それでは認知症の人を十分に支えることはできません。医療とケアの2本の大樹でしっかりと支えてこそ、認知症の人は安心して横たわっていられます(図右)。ケアスタッフは価値のある重要な役割を担っているのですからぜひ頑張ってほしい。大いに期待しています」

 佐々木氏のこのエールは、きっとケアスタッフたちの大きな励みになるに違いない。

(図)医療の樹とケアの樹の関係

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