認知症いろいろ たしかめてください、患者さんの「認知機能」

Dementia Support 2011 Summer

世界の認知症ケアの現状!

海外の状況を理解し、日本からアジアにつなぐケア

特別養護老人ホーム「じょうもんの郷」施設長 助川未枝保

施設長の助川未枝保さん

日本において、高齢者介護、認知症介護が社会的な問題として認識されるようになって久しい。こうした中、高齢者介護の最前線にいながら積極的にイギリス、ドイツ、デンマークなど海外を視察、さらに韓国へ「センター方式」を伝えるなど現場同士の交流に力を入れている、助川未枝保さんに海外事情と日本の今後を聞いた。

介護先進国を訪ねて
EUROPE

ロンドンの公営老人ホーム。介護職員が結婚退職するのを祝うスタッフ。しかし英国人はおらず、いろいろな国の人たちだけだ。日本の介護の未来を示しているようだ

ドイツの有料老人ホームの居室

デンマークの認知症患者の居室。まるでセレブの一軒家のような豪華さ。これにベッドルームがある

 助川未枝保さんが初めて外国のケアに接したのは1993年ごろ。イギリス・ロンドンを訪れる機会があり、その折に見学したデイサービスセンターのケアに、助川さんは大変な衝撃を受けたという。

 「利用者の中にインド人の男性がいました。英語を忘れてしまって母国語しかしゃべらない。すると、彼のために言葉がわかるボランティアが来て対応しているのです。また、ほかのピック病の高齢者は、誰にも制止されることなく自由にセンターの中を歩き回っていました。別のところでは、ボランティアがアロマテラピーを提供していました。当時、日本の高齢者施設では、『危ないから』と高齢者を閉じ込めておくという介護が一般的でした。私は、ロンドンで見たこの個別対応のケアの光景に感銘するとともに、日本の認知症介護に方向性を見出だしたのです」と助川さん。

スコットランド・グラスゴーのグループホーム。入口が別々で、日本のテラスハウスのようなたたずまい

 助川さんはさらに、97年に社会福祉士の海外研修に応募。認知症ケアをテーマに、1ヵ月半にわたりドイツ、デンマーク、イギリスを回った。

 まず、そこで見たのは、社会的な地位をもって機能しているソーシャルワーカー(社会福祉士)の姿だった。

 「ドイツでは、ソーシャルワーカーは認知症の方のケアに関して、その方の生活状況についてのソーシャルレポートを書きます。認知症の方の後見に関する決定などは、精神科が出す医療的な鑑定書とともに、生活部分に関するこのレポートを基準としてなされるのです。つまり、医学面と社会生活面の根拠が書類として提出され、この両面から検討されて、後見などの決定がなされるわけですね」

 欧州の先進国では、認知症の高齢者の状況を把握し評価するために、ソーシャルワーカーの視点が重大な役割をもっており、社会的にもその存在が不可欠となっていた。助川さんは、福祉の専門職としてのソーシャルワーカーのあり方に示唆を受けた。

 また、2012年の介護保険制度改正に向けて日本で今、導入が検討されている24時間巡回・随時訪問サービスの形態が、97年のドイツでは既に行われていたという。

 「ヘルパーは朝6時から動き始め、10分から15分刻みで巡回しているのです。靴下を履くことだけができない利用者には、そこだけを手伝う。靴下を履かせるときに薬を塗るなど、付随して必要なサポートを行うのです。車で行けば30分で回ることができるような狭い地域を、数人で分担して回っていました」。自立支援、在宅支援のケアの真髄を見たと助川さん。

 「いろんなところに行って、いろんな情報をもらってくると、いずれ日本がこうなるだろう、こうなりたい、というビジョンが見えてくるのです」

助川未枝保(すけがわみしほ)
社会福祉士、介護支援専門員、介護支援専門員指導者。特別養護老人ホームじょうもんの郷施設長。日本介護支援専門員協会常任理事、千葉県介護支援専門員実務研修・現任研修講師。全国各地で介護支援専門員を対象とした研修会の講師を務めている。

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