認知症いろいろ たしかめてください、患者さんの「認知機能」

Dementia Support 2011 Summer

センター方式で互いの可能性をひらく(7)

それまでの暮らしを大切にし、生き生きした活動の場を広げる

シートは支援に大切なことを教えてくれる

 「もっと以前からAさんと関われていたら、支援マップはさらに密だったはずです。つながりも見えたし、働き掛けもできたでしょう。それがかなり途絶えてしまった状況でホームに来られたのは惜しいですね。でも、センター方式がなければ、把握する術がなかったし、おそらくそれまでの暮らしに目を向けることもなかったでしょう。シートは支援に大切なことを教えてくれます」

 小林さんは、センター方式は最初の版から使っている。その理念である「5つの視点」に触発されて以来、支援に欠かせないツールとなった。その使い方も、本人や家族、現場の使い勝手に合わせを工夫するのが小林流である。

図3 運営推進会議で使われたA-4シートの応用。写真を入れて、Aさんとの関係が具体的にわかる工夫がされている

 ホームでは、D-4シートをアレンジし、日々の記録として使っている。重要視しているのが、スタッフそれぞれが書く“気付き”の部分だ。

 「気付きは、介護者の思いや想像ではなく、本人がこんなことを言っている、こういう状態が見られるという“事実”です。そこから介護のヒントが掘り起こせます。スタッフにとっては、本人の言葉を聴き、表し、伝え、共有する、訓練になる。本人のどこに注目したらいいか、目の付け所を養うには、日常的に使うことが一番です」と小林さん。

 現場を預かる上野さんは、「D-4シートの記録方法を始めてもう4年。新しい気付きが出てくるという実感があるので、スタッフも使い続けることができています。利用者の心の動きがよくわかり、みんなで確認しやすい。これでケアプランを作っていますが、楽ですね。例えば、目標は何だろうと考える前に、もうニーズが出ているのですから」

 ほかにもD-3シートを工夫し、睡眠・排泄・水分が一体的に見られる記録とて使用している。

 運営推進会議では、Aさん自身に出席してもらった。Aさんが話しやすいよう、A-4シートに自宅での様子やお墓参りなど、いろんな活動場面でのAさんの写真を貼った(図3)。「これはどうなの?」。出席者からたくさん質問が出た。Aさんは次々と答え、自分の生活のことを話してくれた。「私はわがままで言いたいことを言うから迷惑をかけてます」と笑いながら話すAさんとシートに、出席者は大いに関心をもってくれた。

 だんだんを開設して11年。最初は近隣の人たちから認知症もグループホームも理解されなかったが、地域と交流を重ねるうち、応援団が1人2人と増えてきた。“だんだん”とは、伊予の方言で“ありがとう”という意味。一人ひとりを通じてだんだんの輪が広がっている。

※本事例掲載にあたり、個人情報が特定されない旨等を家族に説明し、同意を得ています。

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