認知症いろいろ たしかめてください、患者さんの「認知機能」

Dementia Support 2012 Winter

日本認知症予防学会発足!

いよいよ予防に積極的に取り組む時代に

2. 情報交換と連携の場に

 実際にケアに取り組むのは、国や都道府県といった大きな単位よりも、市町村レベルの地域単位で行うことが多い。市町村は介護保険の保険者でもあり、その単位で認知症予防を独自に進めている地域も少なくない。だが、その進捗状況をみると、必ずしもうまく進んでいるところばかりとはいえない。そうしたときの解決策として、他地域の取り組みに学ぶ方法がある。他地域の成功例を知ることで“壁”を乗り越えられたり、逆に他地域でも同じところで悩んだりしていることを知り、共に解決策を見出すのである。ところが、そうした情報交換の場は少ない。

 さらに、認知症ケアには地域連携が重要といわれつつも、各専門職の学会や研究会はあるが、医療・福祉・介護の多職種が横断的に発表し議論ができる場が少ない。これらの課題を解決するために「お互いの情報が行き来できる場として、また地域連携がどの地域でも活発にできるよう、ぜひこの認知症予防学会を活用してほしい」と浦上氏は述べた。

日本認知症予防学会理事長で第1回学術集会大会長を務めた浦上克哉・鳥取大学医学部保健学科生体制御学講座教授

3. 多職種連携が生む地域住民の認知症への意識変化

 シンポジウムは合計三つ開催された。中でも、1日目の「認知症検診と予防の取り組み」と題したシンポジウムでは、認知症を早く見つけ早期に治療を行うために何が必要なのか、4名が登壇しそれぞれの地域の取り組みを講演した。1人目の鳥取県琴浦町地域包括支援センターの藤原静香保健師は、04年から浦上氏と共に取り組んできた予防プログラムの変遷について解説。同町ではスクリーニングで対象となった人が、介護予防教室「はればれ」(週1回6ヵ月のコース)に通う。初めは「他人の目が気になる」「あそこに行くとかえって悪くなる」などと、認知症に対して拒否的だった地域住民の見方が、「予防は大切だ」と7年間で変わっていった様子を紹介した。

 2人目の福岡県大牟田市認知症ケア研究会の大谷るみ子氏は、02年度から「認知症ケアコミュニティ推進事業」を開始し、行政と専門職、さらに地域住民との協働体制をつくりながら「認知症になっても安心して豊かに暮らし続けられるまちづくり」を実践していることを報告。大牟田市でも市の認知症2次予防事業として「ほのぼの教室」を開催しており、MCIの人の見守りにも活用し、ここを支援の始まりとして捉えている。

 3人目には青森県大鰐(おおわに)町町役場保健福祉課の澤田典子氏が、09年からの取り組みで地域住民にはまだ十分に浸透していない現状を報告。これまで「町広報への掲載」「各種会合でのチラシ配布」「予防対象者への通知」など普及・啓発を図ってきたが、まだ検診受診者が少ないこと、早期発見のためには医療機関との連携が必須であることなどを報告した。

 4人目の熊本県八代市の平成病院・坂本眞一院長は、同県で基幹型と地域拠点型という2構造の認知症疾患医療センターを中心として認知症ケアのネットワークが進んでいる様子を講演。同県の取り組みは「熊本モデル」として知られ、その内容には第1次から第3次予防まで含まれる。地域の医療施設から依頼を受け地域拠点型の平成病院等が鑑別診断を行い、判断が難しい場合、基幹型で検討をするというように認知症疾患医療センターが機能的に運営されている状況を述べ、高齢化率25.5%の熊本県で今後の認知症早期受診・早期診断・治療をどう進めるか、具体的に解説した。センター開設後、同県では認知症外来の件数が2,506件から3,392件と1.4倍に増えた。また、かかりつけ医とケアマネジャーからの相談も増加した。坂本氏は、疾患医療センターの「基幹型」、「地域拠点型」の先にかかりつけ医や地域包括支援センターが機能する3層構造を今後は目指したいと語った。また、同氏は八代市で配布している『もの忘れ相談手帳』の紹介も行った。手帳は患者の生活や服薬している薬などがわかる患者像を記録したもので、会場からも注目を浴びた。

 4名の講演の後、質疑が行われた。藤原氏には、「予防教室の効果」について質問があり、「評価項目を設け医学的に診ていくことを行っている」と回答。一つのポイントは地域住民をどう巻き込むかということが挙げられる。また、声掛けに住民が応じるポイントについては、「細かい地区割りを行い地域住民に細かく声掛けをするのが大事。まず、できるところから始めること」と答えた。この点について大谷氏は、「脳の健康を守るために」ということで検診を呼びかけていると発言。澤田氏は「青森県では“もの忘れ検診”としているのがかえって受診率を高まらない原因かもしれない」と述べ、検診自体を啓発活動につながるようにしたいと話した。

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