認知症いろいろ たしかめてください、患者さんの「認知機能」

Dementia Support 2012 Winter

日本認知症予防学会発足!

いよいよ予防に積極的に取り組む時代に

4. 二つの新しい専門士の講座を開講

 今回の学会では、二つの新しい専門士の講座が開講された。一つは、認知症予防専門士だ。各地で行われている取り組みの集成を学会で報告することも大切だが、同時にそこで得たものを地域で実践する人が欠かせない。予防に関する情報を共有し、認知症予防という大きな理念を共有できる実践家が、「認知症予防専門士」だ。学会では認知症予防専門士の養成を行いながら制度化に向けて働き掛けていく。

 もう一つは、認知症予防のために早期発見、早期受診を推進するうえで必要な臨床検査を行う実務家養成である。現在のところ、認知症診断に必要な頸動脈エコー、脳波、血液・髄液検査、神経心理学的検査などを行う臨床検査技師がいない。この実務家を養成していこうとするのが、「認知症専門臨床検査技師」である。学会では今後多くの現場の人に呼び掛けていきたいとしている。

 3日目に「認知症予防専門士」と「認知症専門臨床検査技師」の講座を学会で開催したが、どちらも申込者は募集定員を上回る盛況であった。認定試験は共に2年後の2014年を予定している。

5. 予防は世界的な潮流に

 海外からの招待講演としては、アメリカ合衆国カリフォルニア州オレンジ郡のシャンクル・クリニック(Shankle Clinic)医師の原 淳子氏(Ms. Junko Hara, PhD)による「Orange County Vital Aging Program 認知症予防に向けての地域社会としての取り組み」があった。

 原氏は、米国では推定で550万人の認知症の人がいると述べ、予防と早期発見、治療が大切で、しかもどれだけ早期に発見できるかがポイントになると語った。米国の認知症研究の主なものとして、ADRC(全米レベルで30ほどの大学が参加し研究を行っている組織)、ADCS(30施設ほどの共同研究ネットワーク)、ADNI(大規模な認知症の調査プロジェクト)等がある。全米アルツハイマー病予防プロジェクトが11年にできたが、動きはこれからとのこと。原氏が最も注目したのは、27年ぶりに認知症の診断基準が改定されMCIからアルツハイマー型認知症を診断することになった点だ。

招待講演で登壇した米国カリフォルニア州オレンジ郡のシャンクル・クリニック(Shankle Clinic)医師・原 淳子氏(Ms. Junko Hara, PhD)

 原氏は課題として、「認知症は75%が中等度で診断されている。これは地域のクリニックレベルでの診断が確立できておらず、一般の人の認知症に対する理解も不足、それが原因で早期発見の妨げになっている」ことを挙げた。また、保険適用が軽度では難しく、早期に治療を開始するには費用的な負担が大きいことも指摘。その上で、オレンジ郡の予防プロジェクト(参加型プログラム)を紹介した。内容は「地域向け教育プログラム、ウェブサイトの運営(啓発とセルフチェック)、医療コーディネイターによる相談、医師の教育プログラム、医師間のネットワークづくり」などを行っている。「プログラムは作るだけではなく周知を図ること、助成に頼らない自立したものにすることが重要だ」と結んだ。

 また、2日目には「Essentials for Happiness」と題し国際シンポジウムが開かれ、オーストラリア、韓国、台湾から講演者が登壇し、海外の高齢者政策、予防に関する試みが発表された。今や認知症予防は東アジアや東南アジアでも話題になっており、世界的問題であるといえよう。浦上氏は「11年7月にフランスのパリで開催された国際アルツハイマー会議では認知症予防に関する演題が多く提出され、私自身驚いた。予防は世界的な潮流で、このような時期に日本で本学会を立ち上げたことはタイムリーだったと実感している」と語った。3日目に開催された市民公開講座には、400名以上の人々がつめかけた。認知症予防に対する一般の人々の関心の高さがうかがえる。

 日本認知症予防学会第2回学術集会は、12年北九州市小倉で開催される予定だ。

2日目に行われた国際シンポジウム「Essentials for Happiness」。左からチン・ズイリン氏(台湾)、コリディア・チュウ氏(オーストラリア)、ウェン・ウーナム氏(韓国)、西野憲史氏(日本。社会福祉法人ふらて会)

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