認知症いろいろ たしかめてください、患者さんの「認知機能」

Dementia Support 2012 Winter

センター方式で互いの可能性をひらく(8)

震災後、ケアの原点に立ち戻り、本人の声を聴くことから始めた

ありのままの本人の声をシートを使い聴く

 2週間ほど経ち、両事業所の連携もとれるようになり、若干ゆとりができたころ、1人の利用者に「何かつらいことない?」と聞くと、こんな言葉が返ってきた。「何もすることがないのがつらいね」。

 蓬田さんはハッとした。

 「私たちは命を守るケアに必死でしたが、利用者は身体を動かしたい、何かしたいという思いがあったんだ、と気付かされました。何をしたいのか、どう過ごしたいのか、ありのままの声に耳を傾けて、思いと力を知って支えよう。ケアの原点に立ち戻って、震災の前にもやっていたセンター方式をもう一度始めました」

 利用者は全員、津波のことは覚えていない。しかし、今大変な状況にあって、皆で助け合って乗り越えていかなければいけない、ということは認識している。困難な戦後を生き抜いてきた世代の底力を感じる一方で、我慢もしているのだろうな、と蓬田さんは思った。だから「もう我慢しなくていい、自分らしく生きていいんだよ」と、そのための支援をこれからはしようと決意したのだった。

 11名全員の思いを知るため、順番にD-4シートで24時間の暮らしの変化を記録した。生活の激変で以前と異なるストレスや困ったことが起きていないか、現在の状態を把握した。D-1、D-2シートも使い、「できること」や「わかること」など、力の発見に努めた。避難生活のなかで身体が弱って、以前と同じことを同じようにやると本人には逆にストレスになることもある。そのためどこからどのようなゆるやかさで力を発揮してもらうのがいいか、シートをもとに、本人・家族とも話し合いを重ねた。そうして集まった情報をC-1-2に現在の姿とともに落とし込み、さらにEシートに集約し、ケアプランに仕上げていった。

 同時に泥まみれで足の踏み場もない「なつぎ埜」に戻って、利用者の大事にしていたもの、思い出の品を探し、お位牌や写真、バッグ、お花の先生の剪定バサミなどを、利用者と一緒に洗いきれいにした。それらを、助かった人にはこれからの生活支援に活かすために、亡くなった人の家族へは遺品としてお渡しした。センター方式のシートも棚に残っていたが、水に浸かり汚れていた。一人ひとりのシートのうち、とくにその人の生き方やこだわりがわかるもの、馴染みの人やもの・場所がわかるものはできるだけ取り出してきて、その情報も新たにC-1-2に加えた。

がれきで埋め尽くされた「なつぎ埜」のリビングルーム

水が引いたあとのグループホーム内部

指定避難場所東六郷小学校1階

東六郷小学校

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