認知症いろいろ たしかめてください、患者さんの「認知機能」

Dementia Support 2012 Winter

Dementia Today

第12回 日本認知症ケア学会 「認知症の人の生活の質を高める」をテーマに全国のケアスタッフが横浜に集う

シンポジウムでBPSDの特徴とケアを語り合う

 BPSD(行動・心理症状)という言葉が提唱されたのは1996年の国際老年精神医学会において。以来、BPSDの治療やケアの研究が進められてきた。大会長講演のあとのシンポジウムでは、東京都健康長寿医療センター研究所研究部長の粟田主一氏の進行のもと、4人の専門家が疾患別に診たBPSDの特徴とケアについて説明した。

 各シンポジストの発言概要は次のとおり。

東京都健康長寿医療センター研究所研究部長・粟田主一氏

アルツハイマー型認知症(AD)

 BPSDの概念は確かに必要だが、ケアの対象とするのはBPSDではなく、認知症に苦しみながら懸命に生きようとする本人であることを忘れてはならない。表面に現れたBPSDにとらわれるのではなく、本人に何が起こり、それをどのように感じて何を求めているのか、その人のもつシナリオを読み解き、支援していくことが重要である。それには本人に接するさまざまな職種のスタッフが情報を共有し、協働して支援にあたるべきである。また、本人がより積極的に声を発することのできる関係を構築し、本人ともにBPSDを予防したり緩和するケアを地域で続けることが望まれる。

永田久美子氏

(認知症介護研究・研修東京センター研究部副部長)

脳血管性認知症

 ADの初期、中期の人は自分で伝える認知機能が残っていることが多い。こういう力を活かしながら、本人と専門職が対話しながら、より良く地域で暮らせる方策を共に創り出すことが今求められている。

 脳血管性認知症のBPSDとしては、抑うつとせん妄が多く現れる。抑うつは、前頭前野を中心とした脳機能低下による意識の低下や、発症前にできたことができなくなることから来る自信の喪失などが絡まって生じる。せん妄は脳の機能不全による睡眠覚醒リズムの崩れなどから起こる。睡眠薬などの薬物が原因となることもある。

 BPSDが出現するのは疾患というより、脳のどの部分が障害されたかによって異なるのではないか。また、本人のネガティブな感情や生活環境、介護スタッフの関わりなどが不適応行動に向かわせることも多い。したがって、脳血管性認知症のBPSDに対しては原因を除去することが第一で、薬物療法は最後の手段だと考えている。

髙橋正彦氏

(仙台市立病院精神科・認知症疾患医療センター科長)

レビー小体型認知症(DLB)

 DLBの特徴的なBPSDに幻視が挙げられる。虫や犬、子どもなどの幻視が反復的に現れたり、時には体感幻覚を伴うこともある。また、今まで話ができていたのに急に噛み合わなくなったり反応しなくなる認知機能の変動もしばしば見られる。歩行困難、動作緩慢などのパーキンソン症状はBPSDではないが、DLB特有の症状だ。筋緊張が抑制されないために、夢を見た内容が寝言や行動として表現されるレム睡眠行動障害がDLBの発症に先だって出現することが多い。

 DLBは認知機能の変動や運動障害、精神症状が併存するので、個別の症状ごとの対応ではなく、最大限のADL、QOLを引き出すことに配慮したケアが大切である。

小田原俊成氏

(横浜市立大学附属市民総合医療センター精神医療センター部長)

前頭側頭葉変性症(FTLD)

 FTLDのBPSDとして、常動、失語、食行動の異常、不潔行為、怠惰、羞恥心に欠くなどが一般に挙げられ、ケアの困難さから施設の入所を断られるケースも少なくない。しかし、私が関わっているグループホームを見る限り、FTLDの人のケアが困難とは思わない。例えば建物の入口の扉は施錠していない。出掛けようとする人がいても、声を掛ければ戻ってくるからだ。かなり進行しない限り、自分でふつうに食事を摂ることもできる。投薬も1〜3ヵ月で減量あるいは中止に至っている。

 こうした私の経験から、小規模で家庭的な環境は、FTLDの人の尊厳の維持や介護負担を軽減できる強力なツールだと感じている。

横田 修氏

(岡山大学大学院精神神経病態学講座助教)

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