認知症いろいろ たしかめてください、患者さんの「認知機能」

認知症特集

インタビュー

本人からのメッセージ

何もできなくても尊い存在と考える社会に

──認知症という病気を抱える一人として、介護スタッフに望むことは?

佐藤 私自身は前向きに生きていますが、認知症の人みんながそうできているわけではありません。むしろ、以前の私のように、マイナス面にばかり目が向いている人のほうがおそらく多いでしょう。介護スタッフには、そうした人が前向きで充実した人生を送れるように、アイデアやヒントをどんどん出してほしい。「そうは言っても」と認知症の人が言ったら、「体にまだ力がある。一緒に体を気持ちよく動かしましょう」「ヘルパーが付き添いますのでスーパーに好きなものを買いに行きましょう」、こう言ってくれるだけで、認知症の人は気持ちに張り合いが出るものです。
 その人が旅好きだったら、「何日の何時から何チャンネルで旅番組をやりますよ」とメモを書いて渡してくれるのもいいですね。映画好きの人には、好きな俳優の名前を聞くのもいい。とにかく明るい話題を提供してほしいのです。食事や掃除など生活支援はもちろん大事だけれど、その人が楽しい気持ちになれるような手助けをすることも介護スタッフの大切な仕事の一つではないでしょうか。

──医師に対してはいかがですか。

佐藤 患者にとってお医者さんの言葉はとても重いものです。ですから、「病名は何々です。予後は統計的にはこうです」と言われるだけでは、“早期診断・早期絶望”になってしまいます。「何か問題があったら一緒に考えましょうね」「二人三脚で病気と向き合いましょう」といった認知症の本人を安心させるような言葉を言っていただけると有り難い。たとえ問題が解決されなくてもいいのです。私たち認知症の本人が望んでいるのは、私たちのそばにいつもいてくださるという姿勢なのですから。もうひとつお願いがあります。家族の会や地域包括支援センター、ケースワーカーなど私たちに必要な相談窓口を教えて、そこにつなげてほしい。私たちはそうしたいわゆる社会資源についての情報をそれほど知らないのです。

──認知症になっても生き生きと暮らせる社会はどうすれば実現できると思いますか。

佐藤 人間の価値は、これができる・あれができるという有用性で決定されるのではなく、何もできなくても尊い存在と考える社会になってほしいと思います。障害者、高齢者、認知症の人をお荷物と捉えるのではなく、コミュニティの一員として認める社会。認知症の人のできることを見つけ、駅や公園の掃除など役割を与えてくれる社会、道で迷っている人を見つけたら住所を聞いて家まで送ってくれる社会、スーパーのレジや駅の窓口で支払いに時間がかかっても待ってくれる優しい社会……。こんな社会になったら素晴らしいですね。

──認知症になったら何もわからなくなるというイメージをもつ人が今でもいますが、佐藤さんのお話を伺っていると、それは全くの誤解であることがよくわかります。

佐藤 これまで徘徊、暴力、暴言といった周辺症状ばかりが報道されていたからでしょう。でも、適切な支援を受けて、笑って暮らしている人もたくさんいることを知っていただきたい。同時に、それができるような良いケアをしてくださることを心から望みます。

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