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認知症特集

認知症のパラダイムシフト 認知症の人の生活を知る

認知症の人の生活機能障害

札幌医科大学医学部 リハビリテーション医学講座教授 石合純夫

 認知症とは、「せん妄や精神疾患によらない認知・行動の障害によって、能力・活動の水準が以前よりも低下し、かつ、職業・社会・日常生活に困難をきたした状態」である。症候学的な見方では、確かに「障害」と言える。しかし、認知症になっても「できる」ことは少なくなく、また、どのような生活を送るかは患者を取り巻く環境に大きく左右される。個人と環境を包括したリハビリテーションの考え方では、何らかの障害が生じても、生き生きと人間らしく生活できるように、障害と生活機能の両方の側面からのアプローチを行う。

国際生活機能分類ICF(International Classification of Functioning, Disability and Health)の考え方から

 WHOの障害についての考え方は、機能障害・形態異常、能力低下、社会的不利の観点から分類する国際障害分類ICIDH(1980)から、常に環境因子や個人因子との関連を考慮した「健康の構成要素」の分類である国際生活機能分類ICF(20011))へと移行した。表1にICFの概念を示す。
 第1部の「生活機能と障害」では、心身機能・身体構造と活動・参加の2つの構成要素を肯定的側面と否定的側面から捉える。その肯定的側面が「生活機能」であり、否定的側面が「障害」である。認知症は心身機能の障害であり、活動・参加面では標準的環境における課題の遂行「能力」が様々な形で障害される。しかし、課題遂行の「実行状況」は、置かれた現在の環境に左右される。ICFの第2部「背景因子」の一つである「環境因子」は、生活機能と障害への外的影響として促進的あるいは阻害的な影響力を持つ。さらに、肯定も否定もできないが個人的な特徴の影響力である「個人因子」も存在する。
 認知症を診るとは、このような健康の構成要素の総体として、患者の生活・人生領域における活動と参加を考えることである。

表1 ICFの概念

第1部:生活機能と障害 第2部:背景因子
構成要素 心身機能・身体構造 活動・参加 環境因子 個人因子
領域 心身機能・身体構造 生活・人生領域
(課題、行為)
生活機能と
障害への外的影響
生活機能と
障害への内的影響
構成概念 心身機能の変化
(生理的)
身体構造の変化
(解剖学的)
能力:標準的環境における課題の遂行
実行状況:現在の環境における課題の遂行
物的環境や社会的環境、人々の社会的な態度による環境の特徴がもつ促進的あるいは阻害的な影響力 個人的な特徴の
影響力
肯定的側面 機能的・
構造的統合性
活動・参加 促進因子 非該当
生活機能
否定的側面 機能障害
(構造障害を含む)
活動制限
参加制約
阻害因子 非該当
障害

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