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易怒性

非薬物療法

 非薬物療法は、Kitwoodが提唱したパーソンセンタードケアの概念3)を中心に行われる。すなわち、記憶を失い、過去・未来とのつながりを切り離され、不安な患者に対して、“今”を心地よいと感じられるよう対応し、環境を整えることである。根本的には、たとえ、間違った内容、不適切な行動でも、患者の発言・言動は、すべていったん受け容れたうえで、その発言・言動の裏にある患者の心理を推測し、自尊心を尊重して対応をすることが重要である。
 Kitwoodは、従来行われてきた、その人らしさを損なう古いケアの文化に属する17の手法を示した(表2)。これらはすべて認知症の人の易怒性を促進する。ケアスタッフの間では、パーソンセンタードケアの概念が徐々に浸透しつつあるが、介護にあたる家族やかかりつけ医の中には、日々行っているケアが認知症の人のその人らしさを損ない、結果的に怒りの要因となっていることになかなか気づかない方も少なくない。認知症の人の「その人らしさ」を尊重したケアにおいて、最も重要なポイントは、認知症患者も、健常者とほぼ同様に、すべての物事を、見て、感じて、思っているということを理解することである。以前のその人と比較して、失われたことだけに目が行ってしまいがちであるが、その多くの能力、そして、その人の気持ちは保たれている。ものを見る、声を聞く、そこから相手の感情を読み取る、自分を恥ずかしいと思う…、そして、言葉の理解が不自由になると、その分、相手の表情、語気、その場の雰囲気に敏感になる。特に、できることをさせない、急がせる、途中でやめさせるなどの背景には、「認知症だから、何もできないだろう、感じていないだろう」という間違った認識が存在することが多い。認知症における怒りを考える際には、誤った認識に基づいた誤ったケアが怒りを生み出している可能性を念頭に置く必要がある。どのようなときに易怒性が出現するのか、なぜ、易怒的になるのかをその人の目線で考えることが重要である。

表2 その人らしさを損なう古いケアの文化に属するケアの手法(Kitwood)

  1. (1)あざむき、だます
  2. (2)できることをさせない
  3. (3)子供扱い
  4. (4)脅し
  5. (5)レッテルを貼る
  6. (6)汚名を着せ、非難する
  7. (7)急がせる
  8. (8)その人の中身を認めない
  9. (9)追い出し、仲間外れにする
  10. (10)もの扱いする
  11. (11)無視する
  12. (12)無理強いする
  13. (13)放っておく
  14. (14)非難する
  15. (15)途中でやめさせる
  16. (16)からかう
  17. (17)軽蔑し、見くびる

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