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易怒性

薬物療法

 適切なケアにもかかわらず、易怒性が改善しない例では、薬物療法を併用する。ただし、BPSDに用いられる薬物のほとんどは、認知症に対する適応をもたない。投与によるメリットがデメリットを明らかに上回ると考えられる場合に限り、使用する目的、適切な代替療法がなく適応を有する薬物がないこと、予想される副作用の説明など、適切なインフォームドコンセントを得たうえで開始することが条件となる。
 対象となる患者の多くは高齢で、薬物の吸収、代謝、排泄が低下しており、副作用が生じやすいため、BPSDの薬物療法は必要最小限の投与に留めることが肝要である。一過性にみられた易怒性に対して、漫然と薬物が投与され、薬剤に伴う意欲低下が持続している事例をしばしば見かける。症状が消失したら、減量や中止、より副作用の少ない薬物への変更を試みる。
 抑肝散はセロトニンの合成促進あるいは遊離促進に働くと考えられており、易怒性のほか、焦燥や緊張、幻視、妄想、不安、抑うつに効果があると報告されている4)。錐体外路症状や転倒などの副作用が少なく、軽症のBPSD例にも処方しやすい。抗てんかん薬の一部も易怒性に効果があることが報告されている。NMDA受容体拮抗薬であるメマンチンは、アセチルコリンエステラーゼ阻害薬との併用も可能で、易怒性の軽減効果がみられる場合がある。認知症に対する定型および非定型抗精神病薬の使用に関しては、アメリカ食品医薬品局から、プラセボ投与群に比較して、死亡率が有意に高くなることが警告されており、より慎重な適応の選択が求められる。

おわりに

 易怒性をはじめとするBPSDへの対応には、パーソンセンタードケアを中心とする非薬物療法啓発とともに、医師主導臨床試験などによる薬物の有効性の適正な評価が求められる。

文献
  1. 1)Hwang, T. J., et al. : Mild cognitive impairment is associated with characteristic neuropsychiatric symptoms. Alzheimer Dis. Assoc. Disord., 18 (1), 17-21 (2004)
  2. 2)Lyketsos, C. G., et al. : Prevalence of neuropsychiatric symptoms in dementia and mild cognitive impairment :, results from the cardiovascular health study. JAMA, 288, 1475-1483 (2002)
  3. 3)Kitwood, T. : Dementia Reconsidered : The Person Comes First. Open University Press, Buckingham (1997)
  4. 4)Mizukami, K., et al. : A randomized cross-over study of a traditional Japanese medicine (kampo), yokukansan, in the treatment of the behavioural and psychological symptoms of dementia. Int. J. Neuropsychopharmacol., 12, 191-199 (2009)

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