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認知症特集

本人視点からアリセプト®を再考する アリセプト®の投与意義

ナーシングホームデータから言えること

なぜナーシングホームに入所するのか?

 平成22年(2010)度に内閣府がまとめた調査「第7回高齢者の生活と意識に関する国際比較調査結果2)」によると「身体機能が低下したときに、自宅にとどまりたいか」の設問に対して、「介護ホームに入所したい」と答えているのはスウェーデンの2.2%に対し、本邦は13.9%にのぼっている。急速な核家族化や就労環境の変化から、老夫婦生活や独居が多くなっている現状でも、「それでも誰かに頼りたくない」「自分でできなくなったら、自分の希望をあきらめてでも誰かに迷惑をかけたくない」という気持ちの裏返しなのであろうか。いずれにしても、すでに入所待ちがこれだけあふれている現状で、この希望に沿う未来を築くことは難しいと想像される。ならば、その気持ちに応える医療は何か?

ナーシングホーム入所リスクとは?

 入所動機は、医療体制・コストから、前述のごとく国柄・地域差、そして何より経済力に至るまで幅広い差があるため、一概に諸外国の結果を受け入れることはできない。しかしながら治療環境を整える上で、ナーシングホーム入所に至る危険因子を知ることは重要である。入所しないことが前提であり、福祉先進国と言われる前述のスウェーデンにおいて、なぜいよいよ入所に至ったのか、参考にしてみたい。
 スウェーデンの縦断研究であるSATS(Swedish Alzheimer Treatment Study)に登録された患者群の23%、206人がホーム入所に至っており、その危険因子に関する検討がされている3)。内訳として、登録時すでに認知機能・ADLが低下していた群がリスク群となるのは当然で、その他には、女性、独居であることも危険因子として認められている。意外なことに、MMSEの悪化のスピードが早い、という因子に有意差はつかなかった。一方で、Instrumental ADLの悪化のスピードが早い群には有意差を持って危険因子として挙がっている(表2)。
 すなわち、ナーシングホーム入所の危険因子は、MMSEで評価できるような認知機能の点数では評価困難な、生活障害=ADL悪化による介護度の増悪が根本にあることを示唆している。ADLの悪化の程度は、診察室で簡単に評価できる項目ではないことを再認識した上で、継続的に介護者に観察してもらう必要がある。
 注目すべき点は、抗コリンエステラーゼ薬が低用量群にとどまっている群が、有意差を持って高リスクであると証明されていることである。この研究のプロトコルでは、ドネペジルは6.9mgを境にそれぞれ低用量群と高用量群に設定されている。言い換えれば、5mgで維持している群と10mg群に有意差がついているのである。

表2 ナーシングホーム入所に関連する危険因子

(文献3より)

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