認知症いろいろ たしかめてください、患者さんの「認知機能」

認知症特集

本人視点からアリセプト®を再考する アリセプト®の投与意義

ドネペジル塩酸塩の効果をどうみるか?

ねぎし内科・神経内科クリニック 院長 根岸輝彦

はじめに

 昨年メマンチン、ガランタミン、リバスチグミンの三剤が保険適用となり、ドネペジル塩酸塩を含めたアルツハイマー型認知症(AD)治療薬は、第2のステージに入ったと言える。患者家族に「新しい薬が出たそうで、変えてみたいのですが?」という質問を受けた先生方も多いかと思われる。しかし筆者も含めて、今まで行ってきた治療薬を継続するか、変更するかの判断となるデータを持ち、十分に家族に説明できる医師がどれほどいるであろうか?認知症を専門とする医師にとっては選択肢が増えた半面、その力量が試される時代になったとも言える。
 今回与えられたテーマである「ドネペジル塩酸塩の効果をどうみるか?」は、筆者にとって認知症治療を再考するうえでも良い機会と考え少し述べさせていただく。

ADAS-Jcog.実施支援システムを用いた評価

 認知症は記憶障害、精神・行動障害および日常生活動作能力の障害に分け評価するのが一般的であり、その中でも記憶障害に対しては、国際的にも汎用されるAlzheimer's Disease Assessment Scale認知機能下位尺度(ADAS-cog.)がある。しかし得点集計の煩雑さや分析評価の難しさから、その実施には専門医や臨床心理士を必要としていた。
 今回用いたADAS-cog.日本語版実施支援システム(DT-Navi)は、検査時間の短縮、高度な知識や熟練性を持たない者でも評価結果の均一化が図れる、患者・介護者へは客観的に数値グラフ化された治療効果や今後についての説明ができるなどの特徴がある。これからのADAS-Jcog.による評価は、このDT-Naviを使った施設が増えると予想される。ここで治療経過中の症例を示すとともに、DT-Naviにより作成された予想曲線グラフを併載する。

◎症例1(図1)
80歳 女性 師範学校卒 元学校教諭
 2009年11月、夫との死別後から自分でしていた炊事、洗濯をすることも少なくなり、「面倒くさい」という言葉を盛んに発するようになった。
 財布や鍵の置き忘れもしばしばみられ、娘との会話でも同じことを何度も聞きなおすことが多くなり、2011年6月初診。
 初診時MMSE20点、ADAS-Jcog.17.0点、頭部MRIでは軽度の脳萎縮のみで軽度ADと診断、ドネペジル塩酸塩を開始した。5mg投与3週目頃から意欲の改善がみられはじめ、友人と外出する機会が増えた。
 約3カ月後のMMSEは20点と変化なく、ADAS-Jcog.は15.6点、娘から「子供に本を読んであげることが好きだった」との話を聞き、公民館で子供に本を読んで聞かせるボランティアがあることを紹介したところ、自分から「やってみる」と言い出した。
 その後次第に顔の表情も明るくなり、ボランティアから帰ると家人にその日あったことを自分から話すようになる。6カ月後のMMSE23点、ADAS-Jcog.では10.3点まで改善した。

図1 症例1

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