認知症いろいろ たしかめてください、患者さんの「認知機能」

認知症特集

本人視点からアリセプト®を再考する アリセプト®の投与意義

認知症治療の真のエンドポイントを考える

QOL評価における視点のシフトにみる、認知症治療の真のエンドポイント

 現時点で、認知症治療によるアウトカムの最終的な帰着点はQOLであることは、論をまたない。さらに近年、認知症医療のあり方が当事者視点へと大きくシフトしてきている。例えば、NICEの認知症ガイドライン6)は、最重要項目として「パーソンセンタードケア(人中心のケア)」という章を設け、「人の価値」に言及している。「人中心のケア」の指す「人」とは、言うまでもなく「医療/ケアを受ける人」であり、「薬を飲む人」が含まれる。本邦においても、この潮流は認知症医療の現場で加速度的な広がりを見せている。
 こうした背景に鑑みても、より直接的かつ明確に本人のQOLを評価しうるEQ-5Dは、現時点で最良の“本人の視点に立った”QOL評価尺度であるといえる。そして、このEQ-5DによるQOL効用値を用いた研究において、ドネペジルは、より本質的な、薬を飲む本人のQOLを改善することが改めて示されたといえる。

おわりに

 認知症治療における介入効果の評価は、まず認知機能や心理・行動症状などの症状評価からQOL評価へと、さらには、介護負担もしくは介護者による間接的なQOL評価から認知症を生きる人についての直接的なQOL評価へと、シフトしてきている。
 そして、誰もが認知症になってから死ぬと感じるほうが自然な時代となった今、認知症治療の真のエンドポイントは、認知症の人の視点に立った、認知症の人のQOL評価にあるといえよう。この視点は、「本人がないがしろの、周囲の人々の介護負担軽減のための認知症治療」から脱却し、「認知症と生きる人のための認知症治療」へと導く、重要な道標であるといえる。
 認知症になっても人生がより豊かになる、そうした未来を描くために、まず認知症の実態を知ることが肝要ではある。ただしそれは、生活する主体者の視点に沿ったものであるべきであろう。その上で、認知症になるということが人生においてどのような意味をもつのか、認知症とともにいかに過ごすのかを、自らのこととして語り合う土壌が必要だといえる。

文献
  1. 1)中村 祐:薬物療法と長期経過・予後、老年精神医学雑誌、20(6)、630〜639(2009)
  2. 2)Tanaka, T., et al. : Post-marketing survey of donepezil hydrochloride in Japanese patients with Alzheimer's disease with behavioral and psychological symptoms of dementia (BPSD). Psychogeriatrics, 8 (3), 114-123 (2008)
  3. 3)安田朝子ら:認知症専門医診療におけるドネペジル塩酸塩によるアルツハイマー型認知症の包括的健康関連QOL指標の変化に関する研究、老年精神医学雑誌、22(12)、1433〜1445(2011)
  4. 4)池上直己ら:臨床のためのQOL評価ハンドブック第I版、医学書院、東京、2001年
  5. 5)河野禎之ら:アルツハイマー病患者における日本語版EuroQol(EQ-5D, VAS)によるQOL評価の信頼性と妥当性の検討、老年精神医学雑誌、20(10)、1149〜1159(2009)
  6. 6)National Collaborating Centre for Mental Health : NICE clinical guideline 42 ; Dementia (2006)

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