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認知症特集

認知症診療10年の変遷と地域連携

今後の方向性

 いかなるシステムでも、ひとたび構築されれば最低限の機能は果たす。しかし、人間関係や関わっているひとのモチベーションなどが大きく左右する地域連携というテーマにおいては、単にシステムだけを構築しても大きな成果は期待できない。多職種が集まる会合においてアンケートを行ったところ、認知症地域連携の要諦として7項目が抽出された(表2)。アンケート結果から浮かび上がってくるのは、BPSD対応、およびそれに対応できるファシリテート能力、リーダーシップを有するコーディネーターが鍵になることである。

表2 認知症地域連携に必要な事項

  1. 1.地域で利用可能な認知症関連のリソース探索
  2. 2.各職種固有の課題とニーズの提示と共有
  3. 3.連携構築を専任とするコーディネーターの必要性
  4. 4.多職種合同の症例カンファレンスの開催
  5. 5.BPSD対応型の連携パスの作成と利用
  6. 6.認知症関連多職種の啓発活動
  7. 7.地域住民対象の啓発活動

以上7項目が抽出された。

(2010年 第51回日本神経学会総会でのポスター発表より)

 全国各地での連携構築は良い面が強調されるきらいはあるが、それでも前述のようなイノベーターが存在する事例があり、参考にすることが多い。一方、いったんできあがった連携システムが本当に有用なものであるか、地域特性の相異はあるにせよ、基本の方法論として汎用性があるのかなどについて、一定の尺度による達成度評価が必要となる。具体的には、アウトプット(市民講座開催数や動員人数など)、プロセス(企画等の立案・遂行の状況など)、アウトカム評価(患者QOLなどのエンドポイントの設定およびその評価)である。本年度4月より、三重大学には基幹型認知症疾患医療センターが発足したが、その中心課題として「認知症地域連携」をキーワードに、患者・家族を中心とした多職種連携を広範に展開し、認知症の早期診断やBPSDの予防・早期介入が可能な体制を構築することを目指している(図3)。

図3 三重大学認知症医療学講座の包括的医療・ケアへの取り組み

文献
  1. 1)佐藤正之、木田博隆、冨本秀和:アルツハイマー病患者の初診までの期間と初診時認知障害の程度:三重大学神経内科における20年間の入院患者での検討、臨床と研究、88、1617〜1618(2011)
  2. 2)木田博隆:認知症診療ケアにおける多職種地域連携システム構築について、第51回日本神経学会総会抄録(2010)
  3. 3)田城孝雄監修:地域医療連携実践ガイドブック(治療 増刊号)、南山堂、東京、2008年
  4. 4)武藤正樹著:よくわかる病院の仕事のしくみ、ぱる出版、東京、2007年
  5. 5)鷹野和美著:チームケア論―医療と福祉の統合サービスを目指して―、ぱる出版、東京、2008年

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