認知症いろいろ たしかめてください、患者さんの「認知機能」

認知症特集

これからの認知症で果たすべき役割

認知症診療でかかりつけ医に期待する役割

岡山大学 脳神経内科教授 阿部康二

超高齢化社会におけるかかりつけ医の重要性

 日本は2010年現在で世界の中で最も高齢化の進んだ超高齢化国家となっているが、今後約20〜40年間はこのまま世界の超高齢化トップ国であり続けるだろうと予測されている。このような超高齢化社会の持続に伴い高齢者数も2050年まで増加の一途を辿るとされているが、図1に示すように2010年は前期高齢者数と後期高齢者数がちょうど1,400万〜1,500万人ぐらいで同数になっており、今後は後期高齢者数が前期高齢者数を上回るものと推測されている1)。このような後期高齢者は大中病院への患者受診自体が困難な場合が多いので、自宅近くに開業されているかかりつけ医の存在はまず第一にこの点で極めて重要である。また後期高齢者の増加に伴って認知症患者数も急増しており、2010年には全国で242万人いる認知症患者が、2030年には348万人、2050年には399万人に達するものと予想されている。2001年の国民生活基礎調査によれば、日本人の寝たきり原因の第1位は脳卒中であり、次いで認知症、骨折転倒、高齢衰弱、関節疾患の順となっている。この中には、認知症で寝たきりになった患者が、肺炎や気管支炎などの気道感染症で死亡するケースが急増している。患者の身近にあって患者自身と家族を熟知しているかかりつけ医の存在は、このような認知症診療ならびに認知症に関連した寝たきり患者医療という点においても極めて重要である。

図1 日本の高齢化社会の現状と将来(文献1より)

2010年現在で前期高齢者と後期高齢者数がほぼ同数となり、今後ますます後期高齢者数が増加してくる。

認知症患者を取り巻く環境の変化

 認知症患者と家族を取り巻く環境はこの10年間で大きく変化してきており、2011年に「認知症の人と家族の会」が行った全国アンケート調査によれば、この10年間で、介護を要する認知症患者では軽度と中等度の割合が増加してきており、また認知症患者の居場所は自宅がトップで、病院が減少しているのに符合して介護保険施設への入所が増加傾向にあることが分かった2)。介護者の介護上の困難点についてもこの10年で変化してきており、「同じことを何度も聞く」や「目が離せない」「興奮して困る」といった症状が上位を占めている中で、「同じことを何度も聞く」が増加し、「火の不始末や徘徊」がやや減少している。また介護者自身の生活上の困難点については、この10年でさらに大きく変化し、「気が休まらない」や「自分の時間がない」「外出できない」が依然としてトップ3ではあるものの、その頻度は急減している。この理由は、デイサービスなど介護保険制度の普及に伴って介護家族が自分の時間が取りやすくなってきたことと、欧米的なドライな家族関係の進行が根底にあるものと推定される。このような10年で大きく様変わりしてきた認知症患者を取り巻く環境に対応した診療が臨床現場に求められており、この意味でもきめ細かな対応ができるかかりつけ医の役割は極めて重要であると筆者は考えている。

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