認知症いろいろ たしかめてください、患者さんの「認知機能」

認知症特集

これからの認知症で果たすべき役割

認知症診療でかかりつけ医に期待する役割

認知症の種類と症状―中核症状と周辺症状

 わが国の65歳以上の老年期認知症の有病率は4〜10%で、特に80歳以上では20%以上となっており、このうちアルツハイマー病(AD)の有病率は65歳以上で1〜3%とされている3)。岡山大学神経内科における認知症専門外来においても、ADが最も多く46.6%で、次いで血管性認知症(VD)が19.8%、前頭側頭型認知症(FTD)が13.1%、レビー小体病(DLB)が3.7%、軽度認知機能障害(MCI)が3.4%などとなっている。
 認知症の臨床症状は、主として知的機能の障害である「中核症状」とそのような知的機能障害に基づいた情動行動障害である「周辺症状」(BPSD:behavioral and psychological symptoms of dementia)とに分けて考えられている。図2左に示すように、中核症状として、一般にADではエピソード記憶から障害され始め、次第に意味記憶、手続き記憶の障害へと症状が拡大していく。またBPSDは、暴言・暴力や不穏、徘徊、焦燥行為、性的脱抑制、不適合行動、罵りといった「行動症状」や、不安、不眠、幻覚、妄想、抑うつといった「心理症状」がある。心理症状の中では、特に妄想について物盗られ妄想や嫉妬妄想、不実妄想などが、行動症状と同様にトラブル因になるので注意を要する。ADなど認知症患者は、特に夕方から夜間に焦燥行動や徘徊、興奮といった行動症状を惹起することが多い。

図2 認知症の中核症状と周辺症状(BPSD)(左)と阿部式簡易BPSDスコア(右)

認知症の新薬の登場

 2011年になりドネペジルに加えて、新たに認知症新薬が3つ登場することになった。それらはドネペジルと同様の脳アセチルコリン(ACh)分解阻害作用に加えてニコチン受容体の直接的刺激作用を持つガランタミンや、脳ACh分解阻害に加えて脳BCh(ブチリルコリン)分解阻害作用を持つリバスチグミン、さらにグルタミン酸のNMDA受容体拮抗薬であるメマンチンである。AChは脳内における意識や知能、記憶、情動、睡眠リズムなどを調整する重要な神経伝達物質であり、この減少はADの主症状である記憶低下と密接に関連している。ちなみに、筆者は、酸化ストレスによりムスカリン性ACh受容体の減少が起こることを1985年に報告している4)。また、グルタミン酸NMDA受容体拮抗薬のメマンチンはADの中等症から重症患者に適応があり、作用機序が異なるのでAChE分解阻害薬との併用も可能である。

BPSDの評価―簡易BPSDスコア

 多忙を極める日常診療において、知的機能の簡易なチェックにはMMSE(mini-mental state examination)やHDS-R(Hasegawa's dementia scale-revised)が頻用されている。しかし、認知症診療におけるもう一つの重要な(介護家族としては最も困っている)BPSDについては、これまでMMSEやHDS-Rに対応するような簡易スケールが少なかったのが実状であった。一方では認知症患者数が急増しており、また治療薬が4種類と選択肢が増えた状況において、日常診療では知的機能と同時にBPSDも簡易に測定でき、治療開始前の状況把握や治療効果の判定にも有用なスコアが求められてきている。そこで筆者らは2011年に「岡山県認知症の人と家族の会」と共同で行った調査結果に基づいて、認知症介護者向けの自己記入式簡易BPSDスコアを開発して、実地診療に使用し始めている(図2右)。このスコアは、認知症患者に見られるBPSD10項目について、頻度と重症度によって0〜9点を配点し、その合計点でBPSD度を判定する。44点が最高度のBPSDである。

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