認知症いろいろ たしかめてください、患者さんの「認知機能」

認知症特集

これからの認知症で果たすべき役割

認知症診療でかかりつけ医が果たすべきこと

弓倉医院 院長 弓倉 整

はじめに

 日本は、世界でも例を見ないスピードで高齢化を迎えつつあるが、特に東京都、神奈川県、埼玉県などの都市部では、急速な認知症患者の増加が見込まれている。このような状況下でかかりつけ医が果たすべき役割とは、認知症に対する早期の気づきと介入、日常的健康管理、さらに専門医療機関や他職種との連携構築を行い、認知症患者と家族の生活の質の保持に努めることである。

かかりつけ医の必要性

 東京都でも団塊の世代の高齢化により、平成27年の高齢化率は24.2%と4人に1人が65歳以上になると言われている。東京都の平成20年8月の「認知症高齢者自立度分布調査」によれば、何らかの認知症の症状がある高齢者(認知症高齢者日常生活自立度I以上)は都内で約29万人、65歳以上人口の約12%とされ、見守りまたは支援の必要な認知症高齢者(同IIa以上)は約20万人の見込みで、65歳以上高齢者の8.4%にのぼる。しかも独居・夫婦のみの高齢者世帯が平成17年当時97万世帯から平成27年には135万世帯に増えると推計され、夫婦のみ世帯や独居の認知症患者も増加すると考えられる1)
 しかし認知症専門医療機関は限られ、いわゆる「もの忘れ外来」受診は3カ月〜半年待ちというところもあり、専門医のみでは認知症診療がパンクする恐れもある。かかりつけ医による早期発見・早期治療と、安定期の認知症患者対応が必要とされる所以である。

かかりつけ医に期待される対応

 認知障害を訴えて専門医療機関を受診する患者は一部にすぎず、認知症として医療機関を受診していない「潜在的」認知症患者が多数いると見られており、日常診療にあたる「かかりつけ」医療機関の役割は重要である。かかりつけ医の多くは認知症の非専門医であるが、高齢化にともない「かかりつけ」の患者が認知症を発症してくる現実があり、早期の「気づき」役になることが期待されている。本人や家族の相談に対し安易に「年のせい」とせず、早期発見・早期治療を行い、適切な医療や介護のルートに乗せることが大切である。
 外来通院間隔が不定期になる、薬の飲み忘れが目立つ等の症状は、早期の認知症を疑うサインとして重要である。また、普段の性格が無頓着になったり、表情が無表情になってきたり、会話の内容が同じことの繰り返しになって気づくこともある。これらの症状は医療事務担当者や看護師が気づくことも多く、コメディカルにも認知症に対する啓発をしておくと、思わぬことから発見するきっかけになる。長谷川式認知症スケール(HDS-R)は、慣れれば外来でもさほどの時間を要しないし、時計描画試験や立方体模写を組み合わせれば、認知機能障害の発見は、さほど困難ではない。
 ただし認知症を疑う場合は、必ず画像診断・血液検査・神経学的診察をあわせて行うことが必要である。概して高齢者は複数の疾病を持ち服薬する薬も多いため、薬剤による認知機能障害の可能性も考え、服薬内容の検討も必要になる。酒好きの人の場合はアルコール性健忘も忘れてはならない。診断が困難な場合は専門医療機関に紹介する。
 かかりつけ医は、患者の性格や家族構成なども知っていることが多く、適切な指導や介護保険導入、ケアマネジャーなど他職種との調整、BPSDの相談に乗ることも大切な役割となる(表1)。最近は、医師会が中心となって、認知症に対応できる「かかりつけ医」を「もの忘れ相談医」として養成し公開するケースも増えてきており2)、この活動が広がることを期待したい(図2)。

表1 かかりつけ医の役割

  1. (1)早期段階での気づき役になる
  2. (2)認知症ではないかという心配や相談があったときに適切な対応をとる
  3. (3)認知症高齢者の慢性疾患(高血圧や糖尿病など)の継続的な診療および健康管理を行う
  4. (4)家族の話や悩みを聞き、精神的支えとなるとともに、BPSDなどで困る場合は適切な専門医療機関への紹介や適切な介護サービスの提案を行う

図2 かかりつけ医に期待される「もの忘れ相談医」機能

認知症新時代への挑戦トップへ

ページトップへ

認知症診療でかかりつけ医が果たすべきことページをご覧の皆様へ

エーザイのアルツハイマー型、レビー小体型認知症治療薬「アリセプト」のサイトです。
アルツハイマー型、レビー小体型認知症の患者様とそのご家族を支え、コミュニケーションをサポートするツールも掲載しています。