認知症いろいろ たしかめてください、患者さんの「認知機能」

認知症特集

これからの認知症で果たすべき役割

高齢者にやさしい剤形選択

昭和大学薬学部 薬物療法学講座 薬剤学部門准教授 倉田なおみ

高齢者と嚥下障害

 嚥下障害の最も多い原因は脳血管障害で、無症候性の脳血管障害を有する高齢者においては、その他の病気(外傷、内臓疾患、手術など)によって全身状態が悪化すると嚥下障害が顕在化することが多い1)。高齢者は潜在的な嚥下障害患者ないし嚥下障害予備軍とも考えられる2)

嚥下障害時の服薬方法

 栄養療法は、可能な限り経腸栄養を行うことが推奨されている3)。経腸栄養の場合、嚥下障害があっても食べる楽しみは失いたくないから、まずは経管栄養チューブや胃瘻を使わずに食形態を工夫して口から栄養を摂取する。このような場合、薬も同じ経路から投与するから、経口投与する。しかし嚥下障害があると、薬を水で飲み込むことが困難になるので、服薬上の工夫が必要となる。(1)ゼリーやプリンで薬を包み込む、(2)水に入れてトロミをつけて食べる、(3)お粥と一緒に食べる、などの工夫をして服薬することが多い。この(1)〜(3)の服薬方法に適する薬の剤形は、以下のとおりである。(1)ゼリーやプリンで包む場合は、患者の嚥下能力によって異なるが、錠剤のままでもうまく飲み込めることがある。(2)水に入れてトロミをつけるには、従来、錠剤をつぶした粉状の薬が用いられていたが、簡易懸濁法で錠剤、カプセル剤を崩壊、懸濁させるほうが、錠剤粉砕により生じる問題点が解決できて良い4)。(3)お粥と一緒に食べるには、やはり薬は粉状にする必要がある。

嚥下障害時の経口服薬の問題点と最適な剤形

 このような工夫をして薬を服用する場合、最も注意すべき問題点は薬の味、においや刺激性などである。患者が服用している薬の味やにおいをすべて確認している医療従事者は、おそらくいないであろう。つまりどんなに耐え難い味であったとしても、医療者はそれを知らずに患者に与え続けていることになる。細粒剤や顆粒剤は、口に含んだ時に味やにおいが出ないような製剤工夫がされているからさほど問題にならないが、散剤(細粒剤や顆粒剤を除く)や錠剤を粉砕した時の味、におい等には十分な配慮が必要である。だからと言って、医療従事者がすべて味見をすることは不可能である。
 そこで、味やにおいがマスキングされている薬剤を選択することが最優先となる。口腔内崩壊(OD)錠はもともと口腔内で崩壊するように製造されているため、味、におい、刺激などで不快にならないような創意工夫がなされている。OD錠であれば、味の心配をせずに安心して投与ができる。嚥下障害時や嚥下障害予備軍である高齢者には、錠剤粉砕を考える前に、OD錠を選択すべきである。

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